てんかん診断後早期の入院リハが長期予後を改善

てんかん診断後早期の入院リハが長期予後を改善
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てんかん発症後早期の心理社会的な支障が、その後の生活の質(QOL)の低下だけでなく、発作再発とも関連のあることが報告されている。一方で、てんかん治療においてリハビリテーション(リハ)の重要性は広く認識されているが、発症後早期にリハを集中的に行うことの意義は確立していない。これを背景としてビーレフェルト大学(ドイツ)のUlrich Specht氏らは前向き研究により、新たに診断されたてんかん患者に対する早期入院リハの有用性を検討。その報告が「Epilepsia」に4月16日掲載された。

この研究は、てんかん診断後1年以内(0~12カ月)に入院リハを受けた85人と、入院リハを受けなかった64人を診断から最大2年後まで追跡。主要評価項目はてんかんに対する心理的適応、抑うつや不安のレベルとし、副次的評価項目は全般的なQOLや健康状態、てんかんによる生活制限、雇用・就労状況などとした。

入院リハは、神経内科医、専門看護師、作業療法士、心理療法士、ソーシャルワーカーなどを含む学際的チームによって行われ、期間は患者ニーズに応じて3~6週だった。データ欠落者を除外し、解析対象数は入院リハ群74人、対照群56人となった。ベースライン時点において、年齢(入院リハ群47.7±13.0歳、対照群45.5±12.1歳)、性別(女性が同順に33.8%、41.1%)、生活状況、臨床的特徴(発作型や発作頻度、併存疾患など)、および前記の評価項目に有意差はなかった。

入院リハから1年後(対照群は診断から13~24カ月後)の評価の結果、入院リハ群では主要評価項目のうちのてんかんに対する心理的適応が、リハ前に比し有意に良好な状態にあり(P<0.001)、また対照群との比較でも有意差が認められた(P=0.003)。抑うつや不安レベルについては、入院リハ前と1年後とで有意な変化はなく、対照群との比較でも有意差はなかった。

副次的評価項目については、全般的QOL(P=0.006)、全般的健康状態(P=0.011)、てんかんによる生活制限(P<0.001)などに有意差が見られ、いずれも入院リハ群が優れていた。また、雇用状況については有意差がなかったが、入院リハ群では発作頻度が低く、病気休暇の期間が短かった(いずれもP<0.001)。

著者らは、「てんかん診断後早期の入院リハは、てんかんへの適応と複数のQOL指標に対する長期的な効果を示した」と総括。また、「診断時点のQOLの低下が発作の再発と関連しているとする報告もあることから、サポートの必要性が高い患者を早期に抽出することが重要と考えられる」と付け加えている。(HealthDay News 2024年4月19日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/inpatient-rehab-program-aids-adaptation-to-epilepsy-diagnosis

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