COVID-19パンデミックが乳幼児の発達に与えた影響はわずか

COVID-19パンデミックが乳幼児の発達に与えた影響はわずか
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの間、乳幼児期の発達マイルストーンの一部の領域において、達成状態に変化が認められたが、その程度はわずかなものであったことが、「JAMA Pediatrics」に4月22日掲載された研究で明らかになった。

米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のSara B. Johnson氏らは、分割時系列(ITS)のデザインを採用し、COVID-19パンデミックと米国の0〜5歳児の発達マイルストーンのスコアの変化との関連を調べた。また、マイルストーン達成状況を調整した上で、保護者が抱える児やその行動についての心配がパンデミック中に増大したかも検討した。

対象とした児5万205人(男児51.5%、平均月齢18.6カ月)の発達マイルストーン達成状況については、ASQ-3(Ages & Stages Questionnaires, Third Edition)を使用し、言語/コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、および個人・社会の5領域に関して、いずれも6個の質問によりスコア化し、パンデミック前(2018年3月1日〜2020年2月29日)、パンデミック発生に伴う中断期(2020年3月1日〜3月31日)、およびパンデミック中(2020年6月1日〜2022年3月30日)の各期間で評価を行った。保護者の心配の有無は、ASQ-3に含まれている2つの質問(「あなたの子どもの行動について気になる点はありますか」「あなたの子どもにについて何か心配はありますか」、いずれもイエス/ノーで回答)によって評価した。

ランダム切片線形混合モデルを用いて各領域のASQスコアを解析した結果、パンデミック前と比べてパンデミック中に、コミュニケーションは約3%(差−0.029、95%信頼区間(CI)−0.041〜−0.017)、問題解決(同−0.018、−0.030〜−0.006)も、個人・社会(同−0.016、−0.028〜−0.004)も約2%、それぞれ有意に低下していたが、粗大運動と微細運動の領域では有意な変化は認められなかった。対象を生後0〜12カ月児(最初の観察時月齢)に絞って検討すると、同様の低下が認められたのはコミュニケーション(同−0.027、−0.044〜−0.011)と問題解決(同−0.018、−0.025〜−0.001)のみであった。

保護者の心配について、一般化線型混合モデルにより、年齢で標準化したASQスコアなどを調整して検討すると、パンデミック中における「悩み」が、パンデミック前と比べてわずかに増大したことが示された(率比1.088、95%CI 1.036〜1.143)。しかし、「行動について気になる点」に有意な変化は認められなかった。

著者らは、「この研究により、COVID-19パンデミックに遭遇した世代の児の発達については、その変化が小さいものであったことから、短期的には、慎重さは必要ながらも楽観視できることが示された。しかし、小児の発達行動を専門とする医療施設にはすでに大きな負荷がかかっており、わずかな変化であっても、これらの施設がさらなる負担を強いられる恐れはある。また、この変化が、集団レベルや個人レベルにおいて、長期的にどのような影響を及ぼすかは不透明であるため、発達の様子を今後とも注意深く見ていく必要があるだろう」と結論付けている。(HealthDay News 2024年4月22日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/child-health/pandemic-had-modest-effect-on-early-childhood-development-milestones

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