冠動脈石灰化スコアは安定胸痛患者のMACEを予測

冠動脈石灰化スコアは安定胸痛患者のMACEを予測
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侵襲的冠動脈造影(ICA)の適応となった安定胸痛の患者において、冠動脈石灰化(CAC)スコアの低値は主要有害心血管イベント(MACE)のリスクの低さと関連するという研究結果が、「Radiology」3月号に掲載された。

シャリテ・ベルリン医科大学(ドイツ)のFederico Biavati氏らは、ICAの適応となった安定胸痛患者における画像診断戦略を検討したDISCHARGE試験のデータを用いて、サブグループ解析を実施した。元の試験では安定胸痛患者をICA群とCT群にランダムに割り付けており、今回の解析では、そのうちCT群に割り付けられた患者1,749人(平均年齢60歳、女性992人)を対象に、CACスコアによるMACEの予測能を検討した。

対象者は、非造影CT検査で測定されたCACスコアにより、CAC低スコア群(スコア0)、中スコア群(1~399)、高スコア群(400以上)に分類された。エンドポイントは追跡期間中央値3.5年間におけるMACE(心筋梗塞、脳卒中、心血管死の複合)の発生であった。Cox比例ハザード回帰を用いて、CACスコア群間でMACEリスクを比較した。

解析の結果、CT血管造影における閉塞性冠動脈疾患(50%以上の冠動脈狭窄)の有病率は、CAC低スコア群では4.1%(95%信頼区間2.8~5.8)だったのに対し、高スコア群では76.1%(同70.3~81.2)へと上昇した。また、最初の管理中における血行再建術〔経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)〕の施行率も、低スコア群の1.7%〔1,7%(同0.9~2.9)、0%〕に対し、高スコア群では46.2%〔33.9%(同28.0~40.1)、12.4%(同8.5~17.1)〕と上昇した。

MACEの累積発生率は、CAC低スコア群では0.5%、中スコア群では1.9%であり、高スコア群の6.8%と比較して低かった。年齢や性別、併存疾患、家族歴などを調整した多変量解析の結果、高スコア群と比較したときのハザード比(95%信頼区間)は、低リスク群で0.08(0.02~0.30)、中リスク群で0.27(0.13~0.59)であった。MACEとCACスコアとの関連性に、有意な性差は見られなかった。

著者らは、「CACスコアが0であれば、追跡期間中のMACEリスクは極めて低いことが示された。スコアの上昇は閉塞性冠動脈疾患、血行再建術、MACEのリスク上昇に関連していた」と述べている。

なお、複数人の著者が、製薬業界、医療機器業界、出版業界との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2024年3月14日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/cardiovascular-diseases/cac-score-predicts-mace-in-patients-with-stable-chest-pain

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