経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の院内死亡はまれであり、先行する急性心血管疾患と関連して生じることが最も多いという研究結果が、「PLOS ONE」に3月27日掲載された。
米バージニア大学のFrancesco Moroni氏らは、米ミシガン州の全ての非連邦政府系病院(39施設)が参加するBMC2コンソーシアムにおいて、2012~2014年にPCIを受けた全ての患者を登録したデータベースを分析。PCI後の院内死亡例について、PCI適応の適切性、死亡の原因と経緯、予防可能性を評価した。
死亡例の評価では、PCI適応を「適切」「おそらく適切」「ほぼ適切でない」のいずれかに分類した。死亡の原因を、心室不全、不整脈、神経系、呼吸器系、感染症、出血・血管系、その他のいずれかに分類した。死亡に至る経緯を、処置合併症(処置に直接起因する病態)、術前14日以内の急性心血管疾患、それ以前の慢性心血管疾患、先行する急性・慢性の非心血管疾患、術後合併症(処置と関連しない術後の事象)に分類した。死亡の予防可能性を0~5点で分類した。また、既存のBMC2死亡率予測モデルによりPCI施行前の患者特徴を評価し、事前の死亡リスク5%未満の症例を「低リスクPCI」とした。
統計分析では、正規分布の連続変数は独立標本のスチューデントのt検定を、非正規分布の連続変数はウィルコクソンの符号付き順位検定を、カテゴリ変数はカイ二乗検定を用いてそれぞれ比較した。
PCIは9万1,308件施行され、1,386人が死亡していた(院内死亡率1.5%)。死亡した症例のうち1,163件(平均年齢71歳、女性44%)が評価の対象となった。
その結果、死亡した症例のうち1,071人(92.1%)ではPCI適応が適切だったと考えられた。死亡の原因は、左室不全が51.8%と最も多く、次いで致死性不整脈(24.2%)、神経系合併症(17.8%)、呼吸不全(16.7%)と続いた。死亡の経緯としては、先行する急性心血管疾患が寄与した症例が61.4%に上り、慢性心血管疾患(21.8%)や非心血管疾患(22.5%)がそれに続いた。20.2%では処置合併症が死亡に寄与したと考えられた。死亡の予防可能性については、89.9%では不可能またはわずか(0~1点)だったと評価された。
死亡の28.2%は、術前の特徴からは低リスクPCIと分類された患者で生じていた。低リスクPCI後の死亡は、その他のPCI後の死亡と比較して、先行する急性心血管疾患が寄与するものが少なく(45.1%対67.8%)、処置合併症(39.0%対12.8%)および術後合併症(21.9%対8.5%)が寄与するものが多かった(いずれもp<0.0001)。
死亡の予防可能性が中等度以上(2~5点)であった死亡は96件で、その70%に手術合併症が寄与していた。術後合併症は28%に寄与していた。予防可能性があった死亡の30%では、PCIはほぼ適切でなかったと考えられた。
著者らは「PCIの手技の安全性をさらに高めるために、予防可能な死亡の特徴を明らかにするさらなる研究が必要である」と述べている。
なお、複数人の著者が医療機器業界との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2024年4月15日)
Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock