2型糖尿病と関連のある腸内細菌叢の特徴が明らかに

2型糖尿病と関連のある腸内細菌叢の特徴が明らかに
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2型糖尿病と関連のある腸内細菌叢の特徴が報告された。米国や欧州、中国などで行われたコホート研究において実施されていた、8,117人に対するショットガンメタゲノムのデータを統合して解析した結果、19種類の微生物の多寡が2型糖尿病のリスクと関連があり、27種類の菌株の種多様性がリスクの個体差を説明する因子として特定されたという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のZhendong Mei氏らの研究の結果であり、詳細は「Nature Medicine」に6月25日掲載された。

近年、腸内細菌叢の組成と2型糖尿病との関連について多くの研究結果が報告されている。ただし、腸内細菌叢に関する研究は多種多様な手法が用いられていて、研究間での比較に困難があること、および、2型糖尿病という疾患自体、患者によって病態が大きく異なることなどから、これまでのところ一貫性のある結果が得られていない。また、2型糖尿病との関連が明らかにされた微生物についても、その関連のメカニズムを特定するには至っていない。これらを背景としてMei氏らは、2型糖尿病患者の腸内細菌叢の組成に関する包括的な検討を実施した。

研究対象は、米国、欧州、イスラエル、中国で実施され、2型糖尿病患者、前糖尿病者、正常血糖者が含まれている10件のコホート研究の参加者8,117人。全ての遺伝子を網羅的に評価するショットガンメタゲノムのデータを統合した解析の結果、19種類の微生物の多寡が2型糖尿病の存在と関連していることが明らかになった。例えば、糖尿病患者ではClostridium bolteaeが多く、Butyrivibrio crossotusは少なかった。これらのディスバイオシスは、糖代謝の乱れなど、2型糖尿病の成因に関連する可能性のある、腸内細菌叢全体の機能変化にも寄与していた。

研究ではこのほかに、Eubacterium rectaleなど2型糖尿病リスクの個体間差を説明し得る、27種類の菌株の種多様性も特定された。それらの中には、遺伝子の水平伝播のメカニズムに関与する遺伝子座が認められるものがあった。また、腸内細菌を介した代謝リスクの根底にあるとされる、クオラムセンシングなどの生物学的プロセスとの関連も見いだされた。

著者らは、「われわれの研究は、これらの腸内細菌叢の特徴と2型糖尿病の因果関係を証明したものではなく、仮説の生成として解釈されるべきだ。しかし、これまでに行われてきた腸内細菌叢と2型糖尿病との関連に関わる研究の中で、最も包括的なエビデンスを提供するものであり、メカニズムに関する今後の研究の基礎となり得る」と述べている。

なお、1人の著者が、バイオ・医薬品関連企業、食品・栄養関連企業などとの利益相反(COI)の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2024年6月26日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/diabetes/dysbiosis-in-phylogenetically-diverse-species-associated-with-type-2-diabetes

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