出生前の母親のフッ化物曝露は神経行動学的問題の増加と関連

出生前の母親のフッ化物曝露は神経行動学的問題の増加と関連
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出生前のフッ化物曝露は、神経行動学的問題の増加と関連することを明らかにした前向きコホート研究が、「JAMA Network Open」に5月20日掲載された。

米フロリダ大学ゲインズビル校のAshley J. Malin氏らは、Maternal and Developmental Risks from Environmental and Social Stressors(MADRES)に参加した母子229組(母親の平均年齢29.45歳、女児50.7%)を対象に、母親の妊娠第3期の尿中フッ化物(maternal urinary fluoride;MUF)と、児の36カ月時の神経行動学的アウトカムとの関連を検討した。MADRESは、主に米ロサンゼルスに居住する社会経済的地位の低いヒスパニック系の妊婦を対象にした研究で、尿検体は2017年から2020年にかけて、対象者が妊娠第3期(妊娠26.9~36.0週)だったときに採取されたものだった(検体採取時の平均年齢31.6歳)。児の神経行動学的問題は、児が生後約36カ月の時点で(2020〜2023年)、母親に99項目から成る未就学児用のChild Behavior Checklist(CBCL)に回答させて評価した。CBCLは、7つの症状スケール(感情的反応性、不安・抑うつ、身体的愁訴、引きこもり、睡眠問題、注意問題、攻撃的行動)、およびDSM-5診断カテゴリーに一致する5つのスケール(抑うつ、不安、反抗挑戦性障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動症)に基づきスコア化し、それらのスコアから内在化問題スコアと外在化問題スコア、および99項目のスコアの総和である全問題スコアを算出した。内在化問題、外在化問題、および全問題の偏差値(Tスコア)は28〜100の範囲で、60〜63は境界域、63超は臨床域と判定した。

妊娠第3期の、比重により調整されたMFU(MFUSG)の中央値は0.76、四分位範囲(IQR)は0.51〜1.19mg/Lであり、32人(14.0%)が全問題の偏差値が境界域または臨床域であった。MFUSGが1 IQR(0.68mg/L)増加するごとに、「正常域」から「境界域または臨床域」となるオッズ比(OR)を、線形回帰モデルにより母親の年齢、妊娠時のBMIなどを調整して解析したところ、全問題スコアについては、その偏差値が「境界域または臨床域」になるオッズが約2倍となった(OR 1.83、95%信頼区間〔CI〕1.17〜2.86、P=0.008)。内在化問題と外在化問題のORは有意でなかった。同様にMFUSGが1 IQR(0.68mg/L)増加するごとに、内在化問題の偏差値は2.29点(偏回帰係数〔B〕=2.29、95%CI 0.47〜4.11、P=0.01)、全問題の偏差値は2.14点(B=2.14、同0.29〜3.98、P=0.02)、それぞれ増加し、いずれも有意だった。

著者らは「出生前の期間は、発育中の脳が環境からの悪影響を特に被りやすい時期だ。今回の結果から、妊婦に対しては、フッ化物への曝露は、それが何に由来するかを問わず、回避されるべきである、とはっきり勧告する必要があろう」と述べている。(HealthDay News 2024年5月21日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/pregnancy/neurobehavioral-issues-increased-in-children-with-prenatal-fluoride-exposure

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