喫煙習慣があって閉塞性肺機能障害のある者では、関節リウマチ(RA)を有していると、RAを有していない場合に比べて呼吸機能(スパイロメトリー測定値)の低下が少なかったという研究結果が「RMD Open」に6月17日掲載された。閉塞性肺疾患を伴うRAは、表現型としては特異なものと考えられるとしている。
最近の報告では、RA患者においては拘束性肺疾患および閉塞性肺疾患がしばしば見られるばかりでなく、死亡率の上昇と関連するとされている。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の林啓吾氏らは、当初、RAは、閉塞性および拘束性肺機能障害のいずれのパターンの呼吸機能測定値についても、喫煙やその他の関連因子とは独立して、その低下を促進するという仮説を立てた。今回これを検証するため、2つの大規模な前向きコホートのデータを用い、RA患者とRA以外の者との間でスパイロメトリー測定値の経時的変化を比較した。
UKバイオバンクおよび喫煙者コホートのCOPDGeneのデータを用い、ベースラインおよび5~7年後に呼吸機能を測定した者のうち、RA患者233例とRAを有さない3万7,735人を対象とした。主要評価項目は、1秒率(FEV1%)および努力肺活量(FVC)に対する1秒量(FEV1)の比率(FEV1/FVC)の年間変化とした。解析には多重線形回帰モデルを用いた。
まず、非喫煙者のみを対象とした解析から、ベースライン時に閉塞性肺機能障害のなかった者では、RA患者群は非RA群に比べてFEV1%の低下が有意に大きかった(β=-0.49、P=0.04)。次に、10箱・年(1日に喫煙する箱数に喫煙年数をかけた数字)以上の喫煙者(過去の喫煙者も含む)のみで解析した。閉塞性肺機能障害があった者となかった者を合わせた集団において、RA患者群では非RA群と比べてFEV1%(β=0.50、P=0.02)とともにFEV1/FVCの低下も有意に少なかった(β=0.31、P<0.01)。これを閉塞性肺機能障害のあった集団のみに絞って解析したところ、この傾向はより顕著となり、FEV1%のβは1.12(P=0.01)、FEV1/FVCのβは1.32(P<0.01)となった。
著者らは「喫煙しないRA患者では、非RAの者よりも1秒率の低下が大きかった。ところが、予想に反し、喫煙者で閉塞性肺機能障害を有するRA患者は、非RAの者よりも呼吸機能の低下が小さかった。このことから、RA患者における閉塞性肺疾患は、非RAの者とは異なる、独特の自己免疫や炎症性病因を有している可能性が示された。全身性炎症や自己免疫およびRAに対する治療が、どのような機序で肺機能に影響しているのか、また、それには可逆性があるのかについては、今後の研究課題となるだろう」と述べている。著者の一部は製薬企業との利益相反を明らかにしている。(HealthDay News 2024年6月25日)
Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock