貧困が外傷性脳損傷を増やし、てんかんリスクをも増大させる

貧困が外傷性脳損傷を増やし、てんかんリスクをも増大させる
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貧困が外傷性脳損傷(TBI)およびTBI後のてんかんリスクの増大と有意な関連があるとする研究結果が、「Epilepsy & Behavior」7月号に掲載された。オーフス大学(デンマーク)のKasper Lolk氏らが、同国内全居住者のデータを用いて行ったコホート研究の結果であり、居住地域の貧困と個人レベルの貧困のいずれもがリスク増大に関連しているという。

この研究では、2010~2015年にデンマーク国内に居住していた586万5,480人のうち、新規TBIによる入院歴のある人と年齢・性別が一致する人を1対5に割り付けた計44万8,666人のデータセットを作成し、TBI後のてんかんの発症を最長2年間追跡。居住地域の貧困(同国全土を1,885地域に分けて評価したNDEP〔neighborhood socioeconomic deprivation〕)と、個人レベルの貧困(年齢層に応じて世帯収入、教育歴、個人所得で評価したIDEP〔individual-level socioeconomic deprivation〕)との関連を検討した。

結果について、まず居住地域の貧困(NDEP)との関連を見ると、貧困地域(NDEPの最低五分位群)の居住者は非貧困地域(NDEPの第2~5五分位群)の居住者よりもTBI発生率が有意に高かった(10万人年当たりの発生率〔IR〕が259.0〔95%信頼区間255.0~263.1〕対231.3〔同229.4~233.2〕)。TBI既往のない場合、年齢層・性別にかかわらず居住地域の貧困はてんかんのリスク因子ではなかった。

年齢層・性別・NDEPにかかわらずTBI既往のある場合は、てんかんリスクが有意に高かった。また20歳未満の女性では、TBI既往によるてんかんリスク増大に対する居住地域の貧困の効果修飾が認められ(非貧困地域居住者での発生率比〔IRR〕が4.46〔3.46~5.75〕、貧困地域居住者ではIRR8.18〔4.94~13.87〕、P=0.0379)、男性でもその傾向が観察された(IRRが同順に3.12〔2.45~3.93〕、5.15〔3.21~8.31〕、P=0.0619)。

次に、個人レベルの貧困(IDEP)に着目すると、この点でも有意な関連が認められた。具体的には、IDEPの最低五分位群は第2~5五分位群に比べてTBI発生率が高かった(10万人年当たりのIRが283.2〔278.6~288.0〕対217.2〔215.3~219.0〕)。TBI既往のない場合、20~29歳および30~64歳では性別にかかわらず、個人レベルの貧困とてんかんリスク増大との関連が認められた。

年齢層・性別・個人レベルの貧困の有無にかかわらず、TBI既往のある場合はてんかんリスクが有意に高かった。なお、20~29歳の女性では、TBI既往によるてんかんリスク増大に対する、個人レベルの貧困の負の効果修飾が認められた(IRRは個人レベルの貧困ありで11.58〔5.87~24.43〕、貧困なしで2.57〔1.40~4.60〕、P=0.0014)。

Lolk氏らは、「貧困がTBIリスクを高め、いくつかの特定の年齢層・性別のグループでは、TBI後のてんかん発症リスクが貧困のために上昇する可能性のあることが明らかになった。これらの結果を総合すると、貧困に伴うてんかん発症リスクの増大に、TBIが関与していることが示唆される」と述べている。(HealthDay News 2024年7月16日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/socioeconomic-deprivation-tied-to-higher-risk-of-epilepsy-related-to-tbi

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