関節リウマチ(RA)患者の疲労に対しては過去数十年にわたり有効な対処法が見つかっておらず、どのような特性を有する患者集団で疲労が持続しやすいかも明らかにされていない。ライデン大学医療センター(オランダ)のAnna M.P. Boeren 氏らは、単関節炎型(腫脹関節数〔SJC〕=1)または少関節炎型(SJC=2~4)であって、診断時の患者全般評価(PGA;高いほど状態が悪い)が高いと、その後の疲労が最も持続しやすいことを明らかにし、論文が「Rheumatology」6月号に掲載された。
対象としたのは、コホート1(ライデン早期関節炎コホート〔Leiden Early Arthritis Cohort〕のRA患者1,560人、平均年齢58±15歳、女性1,018人〔65%〕、罹病期間中央値16週〔四分位範囲8~33〕)、およびコホート2(Treatment in the Rotterdam Early Arthritis Cohort〔tREACH〕)のRA患者415人、平均年齢54±14歳、女性279人〔67%〕、罹病期間中央値21週〔四分位範囲13~30〕)。診断時にPGA、SJC、TJC(圧痛関節数)などを評価し、診断から4カ月後、およびその後1年に1回の割合で5年間にわたって疲労の程度をVAS(Visual Analogue Scale、0~100mmで評価、高いほど疲労が大)を使用して調べた。疲労の程度は、診断時の中央値がコホート1で50mm、コホート2で52mmであり、いずれも5年間でほぼ単調に年平均1.4~1.8mm低下した。
線形混合モデルを用いて、5年間の疲労の変化と、PGA、SJC、TJCなどとの間の関連を検討したところ、コホート1のTJCのβは+0.58(95%信頼区間〔CI〕+0.46~+0.70、P<0.001)となり、これは診断時の圧痛関節数が1本増す毎に5年で疲労が0.58mm増加することを意味した。同様に、βはそれぞれ、コホート2のTJCで+0.81(同+0.54~+1.1、P<0.001)、コホート1のPGAで+0.37(95%CI+0.32~+0.41、P<0.001)、コホート2のPGAで+0.31(同+0.22~+0.40、P<0.001)となり、診断時のTJCおよびPGAと、5年間の疲労の増加との間には、有意な正の相関が存在すると考えられた。この関連は年齢および性別で調整した後も有意であった。これとは反対に、SJCと疲労との間には、有意な負の相関が認められ、βは、コホート1で-0.66(95%CI-0.88~-0.44、P<0.001)、コホート2で-0.74(同-1.1~-0.40、P<0.001)であった。
診断時に単関節型(SJC=1)または少関節型(SJC=2~4)とされた患者では、多関節炎型(SJC≧5)の患者と比べ疲労の増加が明らかであった。即ち、多関節炎型を基準とした場合、βは、コホート1の少関節炎型が+4.8(95%CI+2.1~+7.5、P=0.001)、コホート1の単関節炎型が+4.3(同+0.24~+8.3、P=0.038)、コホート2の少関節炎型が+5.5(同+0.83~+10.2、P=0.021)となっていた(コホート2の単関節炎型は+7.5だったが有意でない)。
単関節炎/少関節炎型か多関節炎型か、PGAが50以上か50未満かで4つのサブグループに分け、解析したところ、単関節炎/少関節炎型でPGAが50以上の群を基準とすると、コホート1でも2でも、他の3群のβはすべてマイナスの値となり、この群では疲労が増加していることが明らかになった。population-basedのコホートであるコホート1では、このようなRA患者の割合は14%(1,560人中216人)であった。
著者らは、「本研究の結果から、疲労が最も持続しやすいRA患者は、診断時に単関節炎型または少関節炎型と判定され、かつPGAが高い(50mm以上)患者であることが明らかになった。このような患者に対しては、認知行動療法などの非薬物療法による早期介入が有効である可能性があり、今後の研究で検討する必要があるだろう」と述べている。(HealthDay News 2024年6月28日)
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