高感度心筋トロポニンT陽性の関節リウマチ患者ではMACEも全死亡もリスクが高い

高感度心筋トロポニンT陽性の関節リウマチ患者ではMACEも全死亡もリスクが高い
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関節リウマチ(RA)患者では、一般集団と比べて慢性炎症に起因する心血管疾患のリスクが1.5倍高いことが示されている。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のBrittany N. Weber氏らは、心筋傷害のマーカーである高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)陽性のRA患者では、主要有害心血管イベント(MACE)および全死亡のリスクが高くなることを明らかにし、論文が「The Journal of Rheumatology」に6月15日掲載された。

RA患者の縦断的観察コホート研究Brigham and Women's Hospital Rheumatoid Arthritis Sequential Study(BRASS)に登録された331人(平均年齢57.9歳、女性83.1%、抗CCP抗体陽性65.9%〔193/293人〕、RA罹病期間中央値12.0年)を対象とし、hs-cTnT陽性とMACEおよび全死亡のリスクとの長期的な関連を検討した。RAの疾患活動性を6カ月ごとに評価し、慢性炎症を反映する高感度CRP(hsCRP)を1年ごとに測定した。

主要アウトカムはMACEとし、副次アウトカムは全死亡とした。hs-cTnT陽性とMACEおよび全死亡との関連は、ベースライン時のアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクスコアとhsCRPで調整したCox比例ハザードモデルを用いて評価した。

その結果、ベースライン時に推定したASCVDの10年間のリスク中央値は3.87%(四分位範囲〔IQR〕1.18~9.87)であった。hs-cTnT陽性率は35.3%(117人)で、その中央値は8.98mg/dL(IQR7.49~12.96)であった。10年間の追跡期間中におけるMACEイベントの発生率は4.8%(16人)、全死亡の発生率は15.1%(50人)であった。

hs-cTnT陽性は将来のMACEリスクと有意に関連していた(ハザード比〔HR〕7.13、95%信頼区間〔CI〕2.29~22.10、P<0.001)。この関連は、ベースライン時のASCVDリスクとlog hsCRPで調整しても(HR4.29、95%CI1.31~14.10、P=0.02)、またベースライン時のASCVDリスクとDAS28(Disease activity score 28)-CRPで調整しても(HR5.79、95%CI1.49~22.40、P=0.01)有意であった。

さらに、hs-cTnT陽性は全死亡とも有意に関連していた(HR7.76、95%CI4.05~14.90、P<0.001)。この関連は、ベースライン時のASCVDリスクとlog hsCRPで調整しても(HR4.36、95%CI2.10~9.03、P<0.001)、またベースライン時のASCVDリスクとDAS28-CRPで調整しても(HR4.74、95%CI2.20~10.20、P<0.001)有意であった。

著者らは、「今回の結果から、hs-cTnTは、ASCVDリスクが全体的に低いと推定されるRA患者において、心血管リスクをより正しく評価することに役立つマーカーであると思われる」と述べている。

なお、数名の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2024年6月27日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/hcp-rheumatology/hs-ctnt-linked-to-mace-mortality-in-rheumatoid-arthritis

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