変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)の患者はいずれも約10人に4人が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つを合併しているとする研究結果が「ACR Open Rheumatology」に7月16日掲載された。これらの併存疾患は自記式の多次元健康評価質問票(MDHAQ)で適切にスクリーニングできる可能性があることも示された。
OA患者とRA患者の合併症は類似しており、いずれも抑うつ、不安や線維筋痛症の合併率が高いことが知られている。しかし、実臨床ではこれらの併存疾患のスクリーニングは十分に行われていない。米ラッシュ大学医療センターのJuan Schmukler氏らは、2011年から2022年にかけて同センターを受診したOA患者361人(平均年齢66.6歳、女性80%)およびRA患者488人(同56.9歳、86%)を対象に、MDHAQの回答から不安、抑うつ、線維筋痛症の有病率などを検討するため、後ろ向きの横断研究を実施した。
なお、MDHAQには全般的な状態を評価するRAPID3、線維筋痛症の評価ツールであるFAST4、抑うつ状態の評価ツールであるMDS2、不安の評価ツールであるMAS2が含まれている。また、これら3つの併存疾患の有無とMDHAQに含まれる疼痛など別の指標の結果との関連も検討した。解析にはMantel-Haenszel法を用いた。
その結果、OA患者の40.4%(361人中146人)、RA患者の36.3%(488人中177人)が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つが陽性と判定された。OA患者の8.6%(361人中31人)、RA患者の7.0%(488人中34人)は3疾患全て陽性だった。また、不安、抑うつ、線維筋痛症のそれぞれが陽性だった場合に、身体機能、疼痛、全体の評価、RAPID3それぞれが悪化するオッズ比(OR)を算出したところ、不安が陽性だったRA患者における身体機能悪化のORが2.58と最も低く、線維筋痛症が陽性だったRA患者における疼痛悪化のORが35.75と最も高く、その他の場合はこれらの数字の中間となった。
著者らは「MDHAQを使用すれば、不安、抑うつ、線維筋痛症のスクリーニングを臨床現場で行えることが分かった。これによってOAやRA患者の状態や予後、治療への反応について、よりよい情報が得られるだろう」と述べている。著者の一人は製薬企業との利益供与を明らかにしており、別の著者はMDHAQおよびRAPID3の著作権と商標を有している。(HealthDay News 2024年7月24日)
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