成人における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心血管疾患(CVD)のリスク上昇に関連し、特に、40歳未満の成人において両者の関連は強いことが、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」6月18日号に掲載された論文で明らかにされた。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのChance Strenth氏らは、2013年から2018年の間に実施された米国国民健康栄養調査(NHANES)への参加者から抽出した、20歳以上の成人9,887人(平均年齢47.6歳、女性51.9%、平均BMI 29.6)のデータを用いて、ほぼ確実な(probable)OSA(pOSA)の有病率とCVDおよびCVDリスク因子との関連を評価した。pOSAは、OSAに関連する症状(いびき、大きな息の吸い込み/呼吸の停止、日中の眠気など)に関する3つの質問に対する回答で、該当するものが1つ以上ある場合とした。CVDには、自己報告による冠動脈疾患(CHD)、心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全、脳卒中などを含めた。CVDリスク因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームとし、確立されたガイドラインに則って評価された。リスクに経時的な変動はないとの仮定のもとで調査重み付けCox比例ハザード回帰モデルを用いて、pOSAとCVDリスク因子およびCVD発症との関連を検討し、調整有病率比(aPR)とその95%信頼区間(CI)を推定した。対象者のほぼ半数(51.5%)がpOSAに該当した。年齢、性別、教育歴、喫煙状況、肥満で調整して解析した結果、pOSAのある者はない者に比べて、高血圧(aPR 1.19、95%CI 1.09〜1.29、P<0.001)、糖尿病(同1.17、1.05〜1.31、P=0.01)、メタボリックシンドローム(同1.14、1.07〜1.21、P<0.001)、狭心症(同1.64、0.99〜2.69、P=0.05)、心筋梗塞(同1.63、1.12〜2.38、P=0.01)、脳卒中(同1.41、1.05〜1.91、P=0.03)、あらゆるCVDイベント(同1.36、1.10〜1.69、P=0.01)の有病率が有意に高かった。対象者の年齢(20歳以上40歳以下、40歳超)で分けたサブグループ解析でも、20歳以上40歳以下では、pOSAのある者はない者に比べて、あらゆるCVDイベント(同3.44、1.61〜7.33、P<0.001)、高血圧(同1.45、1.15〜1.82、P<0.001)、メタボリックシンドローム(同1.25、1.13〜1.39、P<0.001)、狭心症(同10.39、3.54〜30.48、P<0.001)の有病率が有意に高かった。著者らは、「本研究は横断的研究ではあるが、医療従事者は、若年成人ではOSAがCVDおよびその前駆症状のリスクと有意に関連していることを認識するべきだ。またこれらの結果は、若年成人でのCVDリスクを低下させるために、積極的なケアとスクリーニングの実施の必要性を強調するものでもある」と述べている。(HealthDay News 2024年7月19日)https://www.healthday.com/healthpro-news/cardiovascular-diseases/sleep-apnea-increases-risk-for-cardiovascular-risk-factors-and-eventsCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
成人における閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心血管疾患(CVD)のリスク上昇に関連し、特に、40歳未満の成人において両者の関連は強いことが、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」6月18日号に掲載された論文で明らかにされた。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのChance Strenth氏らは、2013年から2018年の間に実施された米国国民健康栄養調査(NHANES)への参加者から抽出した、20歳以上の成人9,887人(平均年齢47.6歳、女性51.9%、平均BMI 29.6)のデータを用いて、ほぼ確実な(probable)OSA(pOSA)の有病率とCVDおよびCVDリスク因子との関連を評価した。pOSAは、OSAに関連する症状(いびき、大きな息の吸い込み/呼吸の停止、日中の眠気など)に関する3つの質問に対する回答で、該当するものが1つ以上ある場合とした。CVDには、自己報告による冠動脈疾患(CHD)、心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全、脳卒中などを含めた。CVDリスク因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームとし、確立されたガイドラインに則って評価された。リスクに経時的な変動はないとの仮定のもとで調査重み付けCox比例ハザード回帰モデルを用いて、pOSAとCVDリスク因子およびCVD発症との関連を検討し、調整有病率比(aPR)とその95%信頼区間(CI)を推定した。対象者のほぼ半数(51.5%)がpOSAに該当した。年齢、性別、教育歴、喫煙状況、肥満で調整して解析した結果、pOSAのある者はない者に比べて、高血圧(aPR 1.19、95%CI 1.09〜1.29、P<0.001)、糖尿病(同1.17、1.05〜1.31、P=0.01)、メタボリックシンドローム(同1.14、1.07〜1.21、P<0.001)、狭心症(同1.64、0.99〜2.69、P=0.05)、心筋梗塞(同1.63、1.12〜2.38、P=0.01)、脳卒中(同1.41、1.05〜1.91、P=0.03)、あらゆるCVDイベント(同1.36、1.10〜1.69、P=0.01)の有病率が有意に高かった。対象者の年齢(20歳以上40歳以下、40歳超)で分けたサブグループ解析でも、20歳以上40歳以下では、pOSAのある者はない者に比べて、あらゆるCVDイベント(同3.44、1.61〜7.33、P<0.001)、高血圧(同1.45、1.15〜1.82、P<0.001)、メタボリックシンドローム(同1.25、1.13〜1.39、P<0.001)、狭心症(同10.39、3.54〜30.48、P<0.001)の有病率が有意に高かった。著者らは、「本研究は横断的研究ではあるが、医療従事者は、若年成人ではOSAがCVDおよびその前駆症状のリスクと有意に関連していることを認識するべきだ。またこれらの結果は、若年成人でのCVDリスクを低下させるために、積極的なケアとスクリーニングの実施の必要性を強調するものでもある」と述べている。(HealthDay News 2024年7月19日)https://www.healthday.com/healthpro-news/cardiovascular-diseases/sleep-apnea-increases-risk-for-cardiovascular-risk-factors-and-eventsCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock