関節リウマチは肺がんリスクの上昇と強く関連する

関節リウマチは肺がんリスクの上昇と強く関連する
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関節リウマチ(RA)は、特に間質性肺疾患(RA-ILD)を伴う場合、肺がんリスクの有意な上昇と強く関連するという研究結果が「Arthritis & Rheumatology」に7月28日掲載された。

米メイヨークリニックのRebecca T. Brooks氏らは、RAおよびRA-ILD患者の肺がんリスクを、RAのない対照群と比較するため、米国退役軍人省(VA)のデータを用いて後ろ向きマッチドコホート研究を実施した。対象はRA患者7万2,795人(男性87.6%、平均年齢63.0歳)と年齢、性別、VA登録年をマッチさせたRAのない者63万3,937人(対照群、同86.7%、61.9歳)であった。

448万1,323患者年(平均追跡期間6.3年)の観察期間中に、RA患者群では2,974人が、非RAの対照群では1万4,125人が肺がんを発症した。解析の結果、RA患者群では対照群と比べて肺がん発症率が高かった(1万患者年当り58.4対35.6)。条件付きCox回帰分析から、人種、民族および喫煙状況を調整して解析したところ、RAは肺がんリスクの上昇と独立して関連していた(調整ハザード比〔aHR〕1.58)。次に、非喫煙者のRA患者群と非喫煙者の対照群を比較したところ、RA患者群のaHRは1.65と有意に高かった。さらに、RA新規発症例に絞って解析しても有意に高かった(同1.54)。

RA患者のうちコホートに参加した時点でRA-ILDを有していたのは757人で、これらを非RAの対照5,931人とマッチさせて解析したところ、RA-ILD患者群の肺がんのaHRは3.25と有意に高かった。次に、RA-ILDを有していないRA患者7万2,038人を非RAの対照62万8,006人とマッチさせて解析したところ、aHRは1.57と有意に高かった。さらに、ベースライン時に既にILDに罹患していたRA患者とILDを新規発症したRA患者を合わせた群で解析しても同様の結果が得られた(aHR 2.88)。

著者らは「RA患者の肺がんリスクは、RAのない対照群と比べて50%以上高く、特にILDを伴う患者ではそのリスクは約3倍に上っていた。肺がんはRA患者の最大の死因であることから、RA患者、特にRA-ILD患者に対する肺がんサーベイランスを強化することは、肺がんによる疾病負荷を軽減するのに有用な方策だ」と述べている。なお、著者のうち数名は製薬企業との利益相反(COI)について明らかにしている。(HealthDay News 2024年8月9日)

https://www.healthday.com/healthpro-news/hcp-rheumatology/rheumatoid-arthritis-tied-to-higher-risk-for-lung-cancer

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