若年成人期におけるテレビの視聴時間は、早期発症(60歳前)の心血管疾患(CVD)と関連するという研究結果が、「Journal of General Internal Medicine」に8月22日掲載された。
テレビ視聴は、余暇活動において最も一般的な座位行動であり、自己報告によるテレビ視聴の推定値は正確である。したがって、先行研究でも座位行動の指標として広く用いられてきた。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJason M. Nagata氏らは、前向きコホート研究であるCARDIAのデータを用いて、若年成人期から中年期にかけてのテレビの視聴時間の推移(若年成人期の視聴時間と、中年期までの視聴時間の変化)と、早期発症(60歳前)のCVDイベントとの関連を検討した。CARDIAは1985〜1986年に18〜30歳の黒人または白人の男女5,115人を登録して開始され、これまで5、7、10、15、20、25、30年後の追跡調査が実施されている。本研究では、テレビ視聴に関する調査が開始された5年後の追跡調査をベースラインとし、4,318人(23〜35歳、黒人48.8%、男性54.9%)が対象とされた。
転帰は、致死的および非致死的な冠動脈性心疾患(CHD)、心不全、脳卒中を対象とし、それぞれについて個別に検討するとともに、それらの複合(CVDイベント)についても検討した。線形混合モデルを構築して、対象者のテレビ視聴時間の経時的な変化を追跡し、カプラン・マイヤー法により、性別および人種ごとのCVDイベントの未調整累積発生率を推定した。また、プールされたロジスティック回帰モデルを用いて、23歳時の予測される1日当たりのテレビ視聴時間とその後のテレビ試聴時間の年間変化がCVDイベント発生に与える影響を検討した。
関連因子を全て調整して解析した結果、23歳時の1日当たりのテレビ視聴時間が1時間増えるごとに、60歳前のCHDとCVDイベント発症のオッズが上昇することが示された(CHD:調整オッズ比1.26、95%信頼区間1.06〜1.49、P=0.01、CVDイベント:同1.16、1.03〜1.32、P=0.02)。同様に、1日当たりのテレビの視聴時間が年当たり1時間増えるごとに、CHD(同1.55、1.06〜2.25、P=0.02)、脳卒中(同1.58、1.02〜2.46、P=0.04)、およびCVDイベント(同1.32、1.03〜1.69、P=0.03)発症のオッズも上昇していた。23歳時のテレビの試聴時間と早期発症のCHD、心不全、脳卒中との関連は人種および性別によって変化し、特に白人男性では一貫して有意な関連が認められた。
著者らは、「若年成人期は、早期介入の重要な時期であるとともに、その後のテレビ視聴習慣を確立する時期でもある」と述べている。(HealthDay News 2024年8月29日)
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