米国の民間保険に加入する女性において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生後、産後不安や産後うつ病の診断は増加していないが、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方を受けた産後女性の割合は高まっているという研究結果が「Archives of Women's Mental Health」に6月28日掲載された。
米ジョージア大学のGrace Bagwell Adams氏らは、2016年1月1日~2020年12月31日の米国の保険請求データを用い、民間保険に加入する産後女性を対象とした後ろ向きの統合横断研究を実施し、産後の気分障害の診断と治療の傾向を評価した。産後不安および産後うつ病の診断件数の変化に加え、これらの症状の治療を目的とした処方薬の処方数および投薬日数の変化を測定した。
その結果、2020年3月にCOVID-19のパンデミックが始まって以来、米国で民間保険に加入している産後女性において、うつ病や不安症の診断が有意に増加していないことが示された。一方、民間保険に加入する産後女性において、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方を受けた者の割合は15.2%増加した。
著者らは、「周産期および産後の女性は気分障害にかかりやすく、そのような障害が母親の短期的および長期的な健康に与える影響を考慮すると、産後女性における診断と処方のパターンの両方を理解することが重要である。今後の研究において、ベンゾジアゼピン系薬剤の処方の増加傾向がCOVID-19パンデミックの終息後も持続しているのかを検証するとともに、このような増加を説明するメカニズムを理解する必要がある」と述べている。(HealthDay News 2024年9月17日)
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