胃食道逆流症(GERD)と関節リウマチ(RA)との関連がいくつかの観察研究で指摘されているが、両者間の因果関係は不明である。そこで、吉林大学第一病院(中国)のQuan Yuan氏らは、メンデルランダム化(MR)法を用いてGERDとRAの因果関係を評価したところ、遺伝的にGERDを発症しやすい人ではRAリスクが高くなるという因果関係があることを示唆する結果が得られた。論文は、「Scientific Reports」に8月1日掲載された。RA患者の発見コホート(discovery cohort)としてGWAS Catalogのデータ(症例2万2,350人、対照7万4,823人)を、検証コホート(validation cohort)としてFinnGenデータベースのデータ(症例1万2,555人、対照24万862人)を、GERD患者のコホートとしてIEU Open GWAS projectのデータ(症例12万9,080例、対照47万3,524人)を用いた(いずれも欧州人のデータ)。これらのデータを用い、MR-Egger法、逆分散重み付け(IVW)、加重中央値、MR-PRESSO法により双方向2標本MR解析を行った。さらに、GERDとRAの交絡因子(喫煙量、飲酒頻度、BMI、うつ病、学歴など)を調整すべく多変量MR解析も行った。GERDを「曝露」、RAを「結果」としたMR解析の結果、GERDが原因でRAリスクが上昇するという因果関係を示す結果が得られ、そのIVWによるオッズ比は、発見コホートで1.41(95%信頼区間1.22~1.63、P=2.81×10-6)、検証コホートで1.38(同1.23~1.55、P=1.76×10-8)であった。IVWによる多変量MR解析で1日当たりの喫煙本数、週当たりの飲酒頻度、BMI、うつ病、学歴の因子を調整したところ、いずれの因子を調整しても、両コホートで同様な有意の結果となった。一方、RAを「曝露」、GERDを「結果」とした逆MR解析では、RAが原因でGERD発症リスクが上昇することを示す明らかなエビデンスは得られなかった。著者らは、「本研究の結果は、RAが発症するメカニズムを解明する上で極めて重要であり、RAの予防と治療に役立つ新たな知見であると思われる」と述べている。(HealthDay News 2024年8月14日)https://www.healthday.com/healthpro-news/hcp-rheumatology/gastroesophageal-reflux-disease-tied-to-increased-risk-for-rheumatoid-arthritisCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
胃食道逆流症(GERD)と関節リウマチ(RA)との関連がいくつかの観察研究で指摘されているが、両者間の因果関係は不明である。そこで、吉林大学第一病院(中国)のQuan Yuan氏らは、メンデルランダム化(MR)法を用いてGERDとRAの因果関係を評価したところ、遺伝的にGERDを発症しやすい人ではRAリスクが高くなるという因果関係があることを示唆する結果が得られた。論文は、「Scientific Reports」に8月1日掲載された。RA患者の発見コホート(discovery cohort)としてGWAS Catalogのデータ(症例2万2,350人、対照7万4,823人)を、検証コホート(validation cohort)としてFinnGenデータベースのデータ(症例1万2,555人、対照24万862人)を、GERD患者のコホートとしてIEU Open GWAS projectのデータ(症例12万9,080例、対照47万3,524人)を用いた(いずれも欧州人のデータ)。これらのデータを用い、MR-Egger法、逆分散重み付け(IVW)、加重中央値、MR-PRESSO法により双方向2標本MR解析を行った。さらに、GERDとRAの交絡因子(喫煙量、飲酒頻度、BMI、うつ病、学歴など)を調整すべく多変量MR解析も行った。GERDを「曝露」、RAを「結果」としたMR解析の結果、GERDが原因でRAリスクが上昇するという因果関係を示す結果が得られ、そのIVWによるオッズ比は、発見コホートで1.41(95%信頼区間1.22~1.63、P=2.81×10-6)、検証コホートで1.38(同1.23~1.55、P=1.76×10-8)であった。IVWによる多変量MR解析で1日当たりの喫煙本数、週当たりの飲酒頻度、BMI、うつ病、学歴の因子を調整したところ、いずれの因子を調整しても、両コホートで同様な有意の結果となった。一方、RAを「曝露」、GERDを「結果」とした逆MR解析では、RAが原因でGERD発症リスクが上昇することを示す明らかなエビデンスは得られなかった。著者らは、「本研究の結果は、RAが発症するメカニズムを解明する上で極めて重要であり、RAの予防と治療に役立つ新たな知見であると思われる」と述べている。(HealthDay News 2024年8月14日)https://www.healthday.com/healthpro-news/hcp-rheumatology/gastroesophageal-reflux-disease-tied-to-increased-risk-for-rheumatoid-arthritisCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock