子どもが毎日15分以上、2,000ルクス以上の日光に曝露を受けると、近視への進行が有意に抑制されるのではないかとする論文が発表された。上海眼病予防治療センター(中国)のJun Chen氏らが行った前向き研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に8月13日掲載された。屋外活動時間の長い子どもは近視リスクが低いことを示唆する研究結果は、これまでにも複数報告されている。しかし、有意な抑制効果を期待できる屋外活動時間や日光照度は明らかになっていない。Chen氏らはこの点について、上海で実施された子どもの近視に関する学校ベースのクラスターランダム化比較試験(Shanghai Time Outside to Reduce Myopia;STORM)のデータを用いた二次解析を行った。STORMは2016年10月~2018年12月に上海の8地域、16校の生徒を対象に行われた。STORM参加児童のうち、ベースラインで近視がなく、スマートウォッチを1日当たり6時間以上、90日間以上装着していて屋外活動時間と日光照度に関するデータを入手し得た、2,976人(平均年齢7.2±0.6歳、女児51.2%)をこの研究の解析対象とした。子どもたちの1日当たりの屋外活動時間は平均90±28分、日光照度は平均2,345±486ルクスだった。屋外活動時間の総合計である4501万6,800分のうちの3367万7,584分(74.9%)は、15分以上の屋外活動が占めていた。視力の変化は、ベースラインと1年後に調節麻痺下等価球面屈折値を自動屈折計で測定し、その絶対値の変化によって評価した。屋外活動時間と日光照度に基づき、子どもたちの屋外活動パターンを12種類に分類した解析の結果、視力変化に対する有意な抑制効果が二つのパターンで観察された。一つは1日当たりの屋外活動時間が15分以上あり、かつ日光照度の平均が2,000~3,999ルクスの範囲だった「パターン11」で、視力変化は-0.007ジオプター(95%信頼区間-0.011~-0.002)。もう一つは同じく1日当たりの屋外活動時間が15分以上あり、かつ日光照度が平均4,000ルクス以上だった「パターン12」で、視力変化は-0.006ジオプター(同-0.010~-0.002)だった。屋外活動時間が15分以上あっても日光照度の平均が1,999ルクス以下の「パターン10」は、-0.002ジオプター(同-0.005~0.002)であり非有意だった。このほかに、等時間置換モデルによる検討から、パターン11や12以外のパターンである場合に、1日15分、2,000ルクス以上の日光に曝露されると近視への進行が有意に抑制されることが示唆された。例えばパターン10からの置換で、視力変化が-0.005ジオプター(同-0.009~-0.001)になると計算された。著者らは、「これらの研究結果は、子どもたちの近視を防ぐためには、単に屋外での活動を推奨するだけでなく、日光曝露量にも焦点を当てるべきであることを示唆している」と述べている。(HealthDay News 2024年8月14日)https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/outdoor-exposure-patterns-associated-with-less-myopic-shift-in-childrenCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock