2型糖尿病患者では所得が低い場合に死亡リスクが高いという関連があり、若年層ではこの関連がより強く認められるとする研究結果が韓国から報告された。高麗大学校(韓国)のJi Yoon Kim氏らが行った、同国国民を対象とする後ろ向きコホート研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に11月12日掲載された。これまでに行われた研究から、所得と死亡リスクは逆相関することが示されている。ただし近年、世界的に増加傾向のある若年2型糖尿病患者の死亡リスクが、中高年者における所得と死亡リスクとの関係と同様かという点は明らかになっていない。そこでKim氏らは、2型糖尿病患者の所得および年齢ごとに死亡リスクを算出し比較するという研究を実施した。解析の対象は、2008~2013年に韓国で2型糖尿病と診断され2019年末まで追跡し得た20~79歳の成人60万4,975人と、年齢と性別が一致する糖尿病でない対照群63万5,805人で、計124万780人(平均年齢56.9±11.8歳、男性50.5%)。所得は健康保険料に基づき推定し、高所得・中所得・低所得の3群に層別化した。1,000人年当たりの死亡数は、対照群が5.83であり、患者群では高所得層が8.56、中所得層が8.43、低所得層は9.68だった。交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、高血圧、脂質異常症、動脈硬化性心血管疾患、eGFRなど)を調整後、対照群と比較した患者群の全死亡のオッズ比(aOR)は以下の通り、低所得層でより高かった。高所得層はaOR1.47(95%信頼区間1.44~1.50)、中所得層は同1.79(1.75~1.83)、低所得層は2.03(1.99~2.08)。この結果を年齢層別に見ると、若年層ほど所得による死亡リスクの差が拡大する傾向が認められた。具体的には、低所得層において、60~79歳はaOR1.82(1.77~1.87)であるのに対して、40~59歳は2.76(2.63~2.89)、20~39歳は4.05(3.29~5.00)であり、中所得層では同順に1.70(1.65~1.74)、2.12(2.03~2.23)、2.39(1.96~2.92)であった。死因別の解析でも、低所得層で死亡リスクが高いという関連が認められた。例えば心血管死は高所得層がaOR1.32(1.26~1.38)、中所得層が1.60(1.53~1.68)、低所得層が1.80(1.71~1.89)であり、がん死は同順に1.47(1.42~1.51)、1.68(1.63~1.74)、1.80(1.73~1.86)だった。なお、若年層の心血管死については所得に応じた段階的なリスク差が認められたが、若年層のがん死に関しては所得によるリスク差が少なかった。著者らは、「所得水準は2型糖尿病患者の死亡率の独立したリスク因子であり、所得の多寡に伴うリスク差は若年層でより顕著であった」と総括している。(HealthDay News 2024年11月15日)https://www.healthday.com/healthpro-news/diabetes/risk-for-mortality-up-with-low-income-in-type-2-diabetesCopyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock