ダークチョコレートの摂取頻度が高いほど2型糖尿病発症リスクが低いという用量反応関係があるとする、米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のBinkai Liu氏らの論文が、「The BMJ」に12月4日掲載された。チョコレート摂取と2型糖尿病の関係については既に多くの研究が行われているが、結果に一貫性がなく、また、ミルクチョコレートとダークチョコレート(乳成分を含まないかごく少ないチョコレート)とで影響が異なるのかという視点での研究は少ない。そこでLiu氏らは、女性看護師対象研究「Nurses' Health Study(NHS)」、NHSの後にスタートした看護師対象研究「NHS II」、および男性医療従事者対象の「Health Professionals Follow-up Study(HPFS)」という三つの前向きコホート研究のデータを用いて、全てのチョコレート、ミルクチョコレート、およびダークチョコレートの摂取頻度と、2型糖尿病リスクとの関連を検討した。482万9,175人年の追跡で1万8,862人の新規2型糖尿病発症が認められた。解析に際しては、交絡因子(年齢、人種/民族、喫煙・飲酒・身体活動習慣、糖尿病の家族歴、摂取エネルギー量、健康的食事指標〔AHEI〕、女性の閉経/閉経後およびホルモン療法の施行など)を統計学的に調整の上、チョコレート摂取頻度が月1回未満の群を基準として、摂取頻度が月1回以上~週1回未満、週1~4回、週5回以上の群の2型糖尿病発症リスクを比較した。その結果、全チョコレートの摂取頻度が週5回以上の場合、2型糖尿病発症リスクが有意に低かったが(調整ハザード比〔aHR〕0.90〔95%信頼区間0.83~0.98〕)、全体的な傾向性は非有意だった(傾向性P=0.07)。ミルクチョコレートについては、摂取頻度と2型糖尿病発症リスクとの関連が認められなかった(傾向性P=0.75)。それに対してダークチョコレートについては、摂取頻度が週5回以上の場合にaHR0.79(95%信頼区間0.66~0.95)と有意にリスクが低く、かつ摂取頻度が高いほどリスクが低下していた(傾向性P=0.006)。また、ダークチョコレートの摂取頻度が週1回多いごとに2型糖尿病リスクが3%低下するという用量反応関係が認められた。サブグループ解析の結果、年齢、性別、BMI、身体活動量、糖尿病の家族歴は、ダークチョコレート摂取頻度と2型糖尿病リスクとの関連に有意な影響を及ぼしていなかった。ただしAHEIの高低(中央値未満/以上)で層別化した場合、スコアの高い群でのみ有意な関連が維持され、日常の食生活によってダークチョコレート摂取による2型糖尿病に対する保護的作用に違いが観察された(交互作用P=0.007)。著者らは、「チョコレート好きの人は、ミルクチョコレートではなくダークチョコレートを選ぶことで、健康に良い影響を期待できるのではないか」と述べている。なお、2人の著者が栄養関連企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2024年12月5日)https://www.healthday.com/healthpro-news/diabetes/increased-consumption-of-dark-chocolate-linked-to-lower-risk-for-t2dmCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
ダークチョコレートの摂取頻度が高いほど2型糖尿病発症リスクが低いという用量反応関係があるとする、米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のBinkai Liu氏らの論文が、「The BMJ」に12月4日掲載された。チョコレート摂取と2型糖尿病の関係については既に多くの研究が行われているが、結果に一貫性がなく、また、ミルクチョコレートとダークチョコレート(乳成分を含まないかごく少ないチョコレート)とで影響が異なるのかという視点での研究は少ない。そこでLiu氏らは、女性看護師対象研究「Nurses' Health Study(NHS)」、NHSの後にスタートした看護師対象研究「NHS II」、および男性医療従事者対象の「Health Professionals Follow-up Study(HPFS)」という三つの前向きコホート研究のデータを用いて、全てのチョコレート、ミルクチョコレート、およびダークチョコレートの摂取頻度と、2型糖尿病リスクとの関連を検討した。482万9,175人年の追跡で1万8,862人の新規2型糖尿病発症が認められた。解析に際しては、交絡因子(年齢、人種/民族、喫煙・飲酒・身体活動習慣、糖尿病の家族歴、摂取エネルギー量、健康的食事指標〔AHEI〕、女性の閉経/閉経後およびホルモン療法の施行など)を統計学的に調整の上、チョコレート摂取頻度が月1回未満の群を基準として、摂取頻度が月1回以上~週1回未満、週1~4回、週5回以上の群の2型糖尿病発症リスクを比較した。その結果、全チョコレートの摂取頻度が週5回以上の場合、2型糖尿病発症リスクが有意に低かったが(調整ハザード比〔aHR〕0.90〔95%信頼区間0.83~0.98〕)、全体的な傾向性は非有意だった(傾向性P=0.07)。ミルクチョコレートについては、摂取頻度と2型糖尿病発症リスクとの関連が認められなかった(傾向性P=0.75)。それに対してダークチョコレートについては、摂取頻度が週5回以上の場合にaHR0.79(95%信頼区間0.66~0.95)と有意にリスクが低く、かつ摂取頻度が高いほどリスクが低下していた(傾向性P=0.006)。また、ダークチョコレートの摂取頻度が週1回多いごとに2型糖尿病リスクが3%低下するという用量反応関係が認められた。サブグループ解析の結果、年齢、性別、BMI、身体活動量、糖尿病の家族歴は、ダークチョコレート摂取頻度と2型糖尿病リスクとの関連に有意な影響を及ぼしていなかった。ただしAHEIの高低(中央値未満/以上)で層別化した場合、スコアの高い群でのみ有意な関連が維持され、日常の食生活によってダークチョコレート摂取による2型糖尿病に対する保護的作用に違いが観察された(交互作用P=0.007)。著者らは、「チョコレート好きの人は、ミルクチョコレートではなくダークチョコレートを選ぶことで、健康に良い影響を期待できるのではないか」と述べている。なお、2人の著者が栄養関連企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2024年12月5日)https://www.healthday.com/healthpro-news/diabetes/increased-consumption-of-dark-chocolate-linked-to-lower-risk-for-t2dmCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock