認知症やアルツハイマー病、脳梗塞などの神経系疾患のリスクが、夜勤や睡眠障害と関連していることを示す報告が増えている。てんかんリスクとの関連の報告も散見されるが、エビデンスはまだ十分でない。山東第一医科大学付属山東省立病院(中国)のXushuai Dong氏らは、英国の住民対象大規模疫学研究である「UKバイオバンク」のデータを用いてこの点を検討。結果が「BMC Public Health」に11月29日掲載された。解析には、UKバイオバンク参加者のうち、登録時にてんかんと診断されておらずデータ欠落のない、47万9,976人のデータが用いられた。夜勤との関連は27万7,252人で検討され、勤務形態の内訳は、日勤のみが82.8%、まれに夜勤ありが8.5%、しばしば夜勤ありが4.9%、夜勤のみが3.8%だった。平均13.5年の追跡期間中に1,334人がてんかんと診断されていた。年齢、性別、BMIを交絡因子として調整後、日勤のみ群を基準として夜勤のみ群ではてんかんリスクが有意に高かった(ハザード比〔HR〕1.41〔95%信頼区間1.10~1.80〕)。夜勤頻度が高いほどてんかんリスクが高いという有意な関連も認められたが(傾向性P=0.004)、調整因子に人種/民族、喫煙・飲酒・運動習慣、教育歴、タウンゼント剥奪指数を追加すると、この関連は非有意となった(傾向性P=0.059)。一方、夜勤のみ群では上記の調整後も引き続き有意なリスク上昇が認められた(HR1.29〔同1.01~1.65〕)。睡眠の質との関連は39万8,164人で検討された。睡眠の質の低下を示す五つの項目(睡眠時間が7~8時間から逸脱、不眠症症状、日中の眠気など)の該当数が多いほど、前記の全ての交絡因子を調整後にも、てんかんリスクが高いことが示された(傾向性P<0.001)。五つの項目を個別に検討すると、長時間または短時間睡眠(HR1.19〔1.11~1.28〕)、頻繁な不眠症症状(HR1.19〔1.09~1.30〕)、頻繁な日中の眠気(HR1.46〔1.24~1.72〕)という3項目が、てんかんリスクと有意に関連していた。一方、いびきや夜型のクロノタイプは、てんかんリスクとの有意な関連が見られなかった。Dong氏らは、「われわれの研究結果は、夜勤および睡眠の質の低さと、その後のてんかん発症リスクとの間に正の相関関係があることを示唆している。これは、公衆衛生上のてんかん一次予防戦略における重要な知見と言える」と述べている。(HealthDay News 2024年12月10日)https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/usualpermanent-night-shifts-poor-sleep-quality-linked-to-epilepsyCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock