関節リウマチ(RA)の疾患活動性に対する社会経済的要因の影響は、学術研究施設とセーフティネット病院では大きく異なるとする研究結果が「ACR Open Rheumatology」に10月18日掲載された。米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのJoseph Kim氏らは、居住地域の地理的剥奪指標(Area Deprivation Index;ADI)がRA疾患活動性および併存する心血管疾患(CVD)に与える影響について分析した。ADIは居住地区を郵便番号によって10段階評価したもので、点数が高いほど貧困度が高いことを意味する。ADIスコア3以下群と8以上群を、性別、年齢、民族、医療保険の種類、Charlson併存疾患指数を用いた傾向スコアで1対1のマッチングを行い、学術研究施設の524人(学術コホート)、セーフティネット病院の496人(セーフティネットコホート)をそれぞれ対象とした。学術コホートにおいては、ADIスコア8以上群では、3以下群に比べてRAPID3(Routine Assessment of Patient Index Data 3;患者自身による疾患活動性の評価)およびCDAI(Clinical Disease Activity Index;圧痛・腫脹関節数と患者および医師の全般評価)で評価した疾患活動性の程度が高く、MDHAQ(Multidimensional Health Assessment Questionnaire;患者自身による身体機能や精神状態の評価)による障害の程度も大きく、健康管理アプリMyChartの使用頻度が低く、喫煙者が多かった。ただし、CVDに有意差は見られなかった。一方、セーフティネットコホートでは、両群に有意差が認められたのは喫煙状態だけだった(ADIスコア8以上群の方が喫煙者が多かった)。ここでもCVDに有意差は認められなかった。著者らは「医療資源は有限なため高リスク集団に重点を置く必要があるが、セーフティネット病院では、ADIの高い群と低い群との間で疾患活動性や機能障害の程度に差がなかったことから、ADIで疾患活動性を予測することは難しいと考えられる。今後、学術研究施設とセーフティネット病院で、ADIに関するさらなる検討が必要だ」と述べている。(HealthDay News 2024年12月5日)https://www.healthday.com/healthpro-news/hcp-rheumatology/socioeconomic-factors-may-not-predict-rheumatoid-arthritis-disease-activityCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock