米国では1999年から2018年にかけて幼児の食事の質が大幅に改善したことが、「Pediatrics」に11月5日掲載された研究で明らかにされた。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のMeghan Zimmer氏らは、米国国民健康栄養調査(NHANES)の1999年から2018年までの10回分の調査データを用いて、生後12カ月から23カ月の幼児2,541人を対象に、食事の質の変化の状況を、全体および世帯の社会経済的地位別に調査した。食事摂取量は24時間食事記録法で測定し、これをHealthy Eating Index-Toddlers(HEI-Toddolers)を用いて評価した。これは計13種類の食品群の摂取量をスコア化して評価する方法で、健康のために摂取すべき9つの食品群は摂取量が多いと高スコア、摂取を制限すべき4つの食品群は摂取量が少ないと高スコアとなる。合計スコアは0〜100点で算出され、スコアが高いほど2020〜2025年の米国人のための食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans;DGA)に則った食事であることを意味する。9種類の摂取すべき食品群とは、果物全体、ホールフルーツ(加工されていない果物)、野菜全体、緑野菜と豆類、全粒穀物、乳製品、総タンパク質食品、魚介類と植物性タンパク質、脂肪酸であり、4種類の摂取を制限すべき食品群とは、精製穀物、ナトリウム、飽和脂肪、加糖食品である。対象者のHEI-Toddlersの平均スコアは、人口比率法を用いて計算された。調査重み付け線形回帰モデルを用い、2年ごとに実施されるNHANESの中間の年号を時間を示す指標(連続変数)として採用して、食事の質との関連を評価した。その結果、HEI-Toddlersの合計スコアの平均は、1999〜2000年のベースライン時で63.7点だったのが、2017〜2018年には67.7点となり、1999年から2018年にかけて幼児の食事の質が大幅に改善したことが示された(P<0.001)。1999年から2018年にかけての経時的な変化を見たところ、合計スコアは、幼児の月齢や性別、人種などとは独立に、年当たり平均0.28ポイント有意に上昇していた(時間に関する偏回帰係数〔Btime〕の平均=0.28、標準誤差〔SE〕0.06、線形トレンドP<0.001)。摂取すべき食品群の中では、ホールフルーツ(Btime=0.04、P<0.001)、全粒穀物(Btime=0.04、P=0.016)、脂肪酸(Btime=0.06、P=0.002)、摂取を制限すべき食品群の中では、精製穀物(Btime=0.06、P=0.009)、添加糖(Btime=0.08、P<0.001)で有意な上昇が認められた。著者らは、「幼児の食事の質を改善する、最も費用対効果の高い方法を見出し、それを集団レベルに応用する方策を、今後の研究で探る必要がある」と述べている。(HealthDay News 2024年11月5日)https://www.healthday.com/healthpro-news/child-health/toddler-diet-quality-improved-significantly-from-1999-to-2018Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
米国では1999年から2018年にかけて幼児の食事の質が大幅に改善したことが、「Pediatrics」に11月5日掲載された研究で明らかにされた。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のMeghan Zimmer氏らは、米国国民健康栄養調査(NHANES)の1999年から2018年までの10回分の調査データを用いて、生後12カ月から23カ月の幼児2,541人を対象に、食事の質の変化の状況を、全体および世帯の社会経済的地位別に調査した。食事摂取量は24時間食事記録法で測定し、これをHealthy Eating Index-Toddlers(HEI-Toddolers)を用いて評価した。これは計13種類の食品群の摂取量をスコア化して評価する方法で、健康のために摂取すべき9つの食品群は摂取量が多いと高スコア、摂取を制限すべき4つの食品群は摂取量が少ないと高スコアとなる。合計スコアは0〜100点で算出され、スコアが高いほど2020〜2025年の米国人のための食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans;DGA)に則った食事であることを意味する。9種類の摂取すべき食品群とは、果物全体、ホールフルーツ(加工されていない果物)、野菜全体、緑野菜と豆類、全粒穀物、乳製品、総タンパク質食品、魚介類と植物性タンパク質、脂肪酸であり、4種類の摂取を制限すべき食品群とは、精製穀物、ナトリウム、飽和脂肪、加糖食品である。対象者のHEI-Toddlersの平均スコアは、人口比率法を用いて計算された。調査重み付け線形回帰モデルを用い、2年ごとに実施されるNHANESの中間の年号を時間を示す指標(連続変数)として採用して、食事の質との関連を評価した。その結果、HEI-Toddlersの合計スコアの平均は、1999〜2000年のベースライン時で63.7点だったのが、2017〜2018年には67.7点となり、1999年から2018年にかけて幼児の食事の質が大幅に改善したことが示された(P<0.001)。1999年から2018年にかけての経時的な変化を見たところ、合計スコアは、幼児の月齢や性別、人種などとは独立に、年当たり平均0.28ポイント有意に上昇していた(時間に関する偏回帰係数〔Btime〕の平均=0.28、標準誤差〔SE〕0.06、線形トレンドP<0.001)。摂取すべき食品群の中では、ホールフルーツ(Btime=0.04、P<0.001)、全粒穀物(Btime=0.04、P=0.016)、脂肪酸(Btime=0.06、P=0.002)、摂取を制限すべき食品群の中では、精製穀物(Btime=0.06、P=0.009)、添加糖(Btime=0.08、P<0.001)で有意な上昇が認められた。著者らは、「幼児の食事の質を改善する、最も費用対効果の高い方法を見出し、それを集団レベルに応用する方策を、今後の研究で探る必要がある」と述べている。(HealthDay News 2024年11月5日)https://www.healthday.com/healthpro-news/child-health/toddler-diet-quality-improved-significantly-from-1999-to-2018Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock