2型糖尿病に用いられる血糖降下薬の有効性が、患者の年齢や性別により異なるかを検討した結果が「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に2月3日掲載された。英グラスゴー大学のPeter Hanlon氏らの研究によるもので、性別では有効性の違いは見られないが、年齢については薬剤ごとに異なる影響が観察されたという。例えばSGLT2阻害薬(SGLT2-i)は加齢とともにHbA1cの低下幅が小さくなるにもかかわらず、心血管に対する保護効果は高まる可能性があるとのことだ。この研究では、比較的新しい2型糖尿病治療薬で、血糖降下以外の副次的な作用のエビデンスも豊富なSGLT2-i、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、およびDPP-4阻害薬(DPP-4i)の3剤の有効性が、年齢や性別によって異なるのかを、ネットワークメタ解析で検討した。MEDLINE、Embase、米国と中国の臨床試験レジストリを用いて、それぞれのデータベースの開始から2022年11月までに公開された報告を対象に検索を実施。2024年8月に、新たに報告されていた論文を追加した上で解析を行った。有効性の評価項目は、HbA1c低下効果と主要心血管イベント(MACE)抑制効果だった。適格と判断された601件の報告のうち、研究参加者個々のHbA1cの変化を確認できた報告は103件だった。SGLT2-iは、年齢が30歳上がるごとに対プラセボでのHbA1cの変化量の絶対差(absolute reduction;AR)が、単剤処方では0.24%(95%信頼区間0.10~0.38)、他剤との2剤併用では0.17%(同0.10~0.24)、3剤併用では0.25%(0.20~0.30)ずつ低下することが分かった。GLP-1RAについては同様の解析で、単剤処方ではARが−0.18%(−0.31~−0.05)、2剤併用で−0.24%(−0.40~−0.07)と、加齢とともにHbA1cの低下幅が大きくなることが示された。ただし、3剤併用でのARは0.04%(−0.02~0.11)で、加齢によるHbA1c低下作用の有意な変化は見られなかった。DPP-4iは、2剤併用ではAR−0.09%(−0.15~−0.03)と、わずかに低下幅が大きくなることが示され、単剤(AR−0.08%〔−0.18~0.01〕)や3剤併用(AR−0.01%〔−0.06~0.05〕)では、加齢による有意な変化は見られなかった。研究参加者個々のMACE発生データを入手できた報告は6件だった。SGLT2-iによるMACEリスクの抑制効果は、年齢が30歳上がるごとにより大きくなっていた(ハザード比〔HR〕0.76〔0.62~0.93〕)。一方、GLP-1RAによるMACEリスクの抑制効果は、加齢に伴い低下していた(HR1.47〔1.07~2.02〕)。著者らは、「SGLT2-iのHbA1cに対する有効性は加齢とともにわずかに低下するが、対照的に同薬のMACE抑制効果は若年者に比較して高齢者でより大きい」と結論付けている。なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2025年2月11日)https://www.healthday.com/healthpro-news/diabetes/age-differences-seen-in-efficacy-of-type-2-diabetes-treatmentsCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
2型糖尿病に用いられる血糖降下薬の有効性が、患者の年齢や性別により異なるかを検討した結果が「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に2月3日掲載された。英グラスゴー大学のPeter Hanlon氏らの研究によるもので、性別では有効性の違いは見られないが、年齢については薬剤ごとに異なる影響が観察されたという。例えばSGLT2阻害薬(SGLT2-i)は加齢とともにHbA1cの低下幅が小さくなるにもかかわらず、心血管に対する保護効果は高まる可能性があるとのことだ。この研究では、比較的新しい2型糖尿病治療薬で、血糖降下以外の副次的な作用のエビデンスも豊富なSGLT2-i、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、およびDPP-4阻害薬(DPP-4i)の3剤の有効性が、年齢や性別によって異なるのかを、ネットワークメタ解析で検討した。MEDLINE、Embase、米国と中国の臨床試験レジストリを用いて、それぞれのデータベースの開始から2022年11月までに公開された報告を対象に検索を実施。2024年8月に、新たに報告されていた論文を追加した上で解析を行った。有効性の評価項目は、HbA1c低下効果と主要心血管イベント(MACE)抑制効果だった。適格と判断された601件の報告のうち、研究参加者個々のHbA1cの変化を確認できた報告は103件だった。SGLT2-iは、年齢が30歳上がるごとに対プラセボでのHbA1cの変化量の絶対差(absolute reduction;AR)が、単剤処方では0.24%(95%信頼区間0.10~0.38)、他剤との2剤併用では0.17%(同0.10~0.24)、3剤併用では0.25%(0.20~0.30)ずつ低下することが分かった。GLP-1RAについては同様の解析で、単剤処方ではARが−0.18%(−0.31~−0.05)、2剤併用で−0.24%(−0.40~−0.07)と、加齢とともにHbA1cの低下幅が大きくなることが示された。ただし、3剤併用でのARは0.04%(−0.02~0.11)で、加齢によるHbA1c低下作用の有意な変化は見られなかった。DPP-4iは、2剤併用ではAR−0.09%(−0.15~−0.03)と、わずかに低下幅が大きくなることが示され、単剤(AR−0.08%〔−0.18~0.01〕)や3剤併用(AR−0.01%〔−0.06~0.05〕)では、加齢による有意な変化は見られなかった。研究参加者個々のMACE発生データを入手できた報告は6件だった。SGLT2-iによるMACEリスクの抑制効果は、年齢が30歳上がるごとにより大きくなっていた(ハザード比〔HR〕0.76〔0.62~0.93〕)。一方、GLP-1RAによるMACEリスクの抑制効果は、加齢に伴い低下していた(HR1.47〔1.07~2.02〕)。著者らは、「SGLT2-iのHbA1cに対する有効性は加齢とともにわずかに低下するが、対照的に同薬のMACE抑制効果は若年者に比較して高齢者でより大きい」と結論付けている。なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2025年2月11日)https://www.healthday.com/healthpro-news/diabetes/age-differences-seen-in-efficacy-of-type-2-diabetes-treatmentsCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock