適度なカロリー制限と、SGLT2阻害薬(SGLT2-i)という経口血糖降下薬の一種であるダパグリフロジンの組み合わせによって、2型糖尿病の寛解を期待できることを示す研究結果が、「The BMJ」に1月22日掲載された。復旦大学付属中山医院(中国)のXiaoying Li氏らが行ったプラセボ対照試験の結果であり、寛解率はプラセボ群の28%に対して実薬群は44%だったという。同氏は、「この研究結果は2型糖尿病の寛解を達成するための実用的な戦略を示している」と話している。この研究は、2型糖尿病発症後6年未満でBMIが25を上回っている患者328人を、2020年6月~2023年1月に中国全土から募集して実施された。メトホルミン以外の血糖降下薬が処方されている患者や胃切除後の患者などは除外した。研究参加者全員に、1日の摂取カロリーを500~750kcal減らし、毎週150分間の速歩または1日1万歩以上のウォーキングなどの運動を課した上で、ランダムに2群に分け、ダパグリフロジン10mg/日またはプラセボを処方した。介入期間は12カ月だった。なお、ダパグリフロジンなどのSGLT2-iは、腎臓での血糖の再吸収を抑制することで、余分な血糖を尿中に排出して血糖値を低下させる薬。参加者の平均年齢は46.7歳、男性66%、BMIは28.2、HbA1c7.3%で、45%がメトホルミンを処方されていた。これらに両群間の有意差はなく、また介入期間中の摂取エネルギー量、および、炭水化物・タンパク質・脂質の摂取バランス、身体活動量にも有意差はなかった。薬物療法を中止後に2カ月以上、血糖値が基準値内にとどまっていた場合を「寛解」と定義すると、ダパグリフロジン群の44%、プラセボ群の28%が寛解に至っていた(リスク比1.56〔95%信頼区間1.17~2.09〕、P=0.002)。また、プラセボ群の体重低下幅が約3kgだったのに対して、ダパグリフロジン群では約5kg低下していた(P<0.001)。さらに、ダパグリフロジン群ではインスリン抵抗性の改善幅が大きく(P<0.001)、収縮期血圧(P=0.002)や中性脂肪(P=0.03)もプラセボ群より大きく低下していた。有害事象に関しては、ダパグリフロジン群で尿路感染症が2件発生していたが、全有害事象の発生率は有意差がなかった。この研究発表に対して、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のDavid Hope氏らが付随論評を寄せている。その中で同氏は、「適度なカロリー制限にダパグリフロジンを追加することで、2型糖尿病の寛解率が顕著に上昇することを明らかにした点は注目に値する。また、報告されたデータは、ダパグリフロジンのようなSGLT2-iを用いることで、摂取カロリーをそれほど大きく制限しなくても糖尿病患者の体重管理が可能となることを示している」と述べている。(HealthDay News 2025年1月24日)https://www.healthday.com/health-news/diabetes/certain-meds-and-diet-can-reverse-type-2-diabetesCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
適度なカロリー制限と、SGLT2阻害薬(SGLT2-i)という経口血糖降下薬の一種であるダパグリフロジンの組み合わせによって、2型糖尿病の寛解を期待できることを示す研究結果が、「The BMJ」に1月22日掲載された。復旦大学付属中山医院(中国)のXiaoying Li氏らが行ったプラセボ対照試験の結果であり、寛解率はプラセボ群の28%に対して実薬群は44%だったという。同氏は、「この研究結果は2型糖尿病の寛解を達成するための実用的な戦略を示している」と話している。この研究は、2型糖尿病発症後6年未満でBMIが25を上回っている患者328人を、2020年6月~2023年1月に中国全土から募集して実施された。メトホルミン以外の血糖降下薬が処方されている患者や胃切除後の患者などは除外した。研究参加者全員に、1日の摂取カロリーを500~750kcal減らし、毎週150分間の速歩または1日1万歩以上のウォーキングなどの運動を課した上で、ランダムに2群に分け、ダパグリフロジン10mg/日またはプラセボを処方した。介入期間は12カ月だった。なお、ダパグリフロジンなどのSGLT2-iは、腎臓での血糖の再吸収を抑制することで、余分な血糖を尿中に排出して血糖値を低下させる薬。参加者の平均年齢は46.7歳、男性66%、BMIは28.2、HbA1c7.3%で、45%がメトホルミンを処方されていた。これらに両群間の有意差はなく、また介入期間中の摂取エネルギー量、および、炭水化物・タンパク質・脂質の摂取バランス、身体活動量にも有意差はなかった。薬物療法を中止後に2カ月以上、血糖値が基準値内にとどまっていた場合を「寛解」と定義すると、ダパグリフロジン群の44%、プラセボ群の28%が寛解に至っていた(リスク比1.56〔95%信頼区間1.17~2.09〕、P=0.002)。また、プラセボ群の体重低下幅が約3kgだったのに対して、ダパグリフロジン群では約5kg低下していた(P<0.001)。さらに、ダパグリフロジン群ではインスリン抵抗性の改善幅が大きく(P<0.001)、収縮期血圧(P=0.002)や中性脂肪(P=0.03)もプラセボ群より大きく低下していた。有害事象に関しては、ダパグリフロジン群で尿路感染症が2件発生していたが、全有害事象の発生率は有意差がなかった。この研究発表に対して、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のDavid Hope氏らが付随論評を寄せている。その中で同氏は、「適度なカロリー制限にダパグリフロジンを追加することで、2型糖尿病の寛解率が顕著に上昇することを明らかにした点は注目に値する。また、報告されたデータは、ダパグリフロジンのようなSGLT2-iを用いることで、摂取カロリーをそれほど大きく制限しなくても糖尿病患者の体重管理が可能となることを示している」と述べている。(HealthDay News 2025年1月24日)https://www.healthday.com/health-news/diabetes/certain-meds-and-diet-can-reverse-type-2-diabetesCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock