米国心臓協会(AHA)は、国立衛生研究所(NIH)と共同で、心臓病、脳卒中、心血管リスク要因に関する最新の統計を毎年報告している。この度、2025年度版の統計結果を、同協会のチェアマンであり、米ジョンズホプキンス大学医学部心臓病学科のSeth S. Martin氏らがまとめた報告が、「Circulation」に1月25日掲載された。2025年版では、いくつかの重要な領域における健康の公平性に引き続き焦点を当て、昨年の統計更新版以来、改善された手法と新しく組み込まれた約3000の新しいデータソースを反映し、より強化されたグローバルなデータが含まれる。今回発表された心血管疾患(CVD)のリスクに関する統計結果(サマリー)は以下のとおり。・心血管の健康:米国全国民健康・栄養調査(NHANES)の2007~2018年までの参加者のデータではAHA Life's Essential 8スコアと、CVDの有病率は関連していた。AHA Life's Essential 8スコアの標準偏差が1増加するごとに、心血管疾患のオッズが低下(オッズ比0.64)。・喫煙:過去20年間で成人および若者の喫煙率は一貫して減少するも、年齢、人種間で格差が認められた。・運動:過去10年間(2011~2021年)で60分以上体を動かしている高校生の割合は28.7%から23.9%へ減少。・栄養:米国国民の大半は、食生活の質と食生活指針の遵守状況を示す健康的食事指数(HEI)の観点からは、健康的な食生活を送っていない。HEIは、10年間でわずかに改善されたものの、平均スコアは59点(100点満点)だった。・過体重・肥満:2017~2020年までのデータによると、成人の肥満有病率は男女ともに41.8%だった。・高血中コレステロール・その他脂質:リポ蛋白(a)はCVDのリスク上昇と関連するため、米国では少なくとも1回のスクリーニングが勧奨されているが、依然としてスクリーニング率は低い。・高血圧:高血圧の有病率は年齢とともに増加し、20~44歳では28.5%、65歳以上では76.5%だった。・糖尿病:CVDは依然として糖尿病患者の主要な死因である。成人で糖尿病を治療によりコントロールできているのは20.7%に過ぎない。・睡眠:不眠症状を訴える頻度は、女性の方が男性より1.5~2.3倍高い。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発症リスクおよび睡眠障害の報告リスクは、健康的な食生活を送っている人ほど低い。著者らはこの統計結果について、「今回の統計結果の更新は、入手可能な最良のデータを求める、一般の人々、政策立案者、メディア、医療従事者、研究者などにとって重要なリソースとなるだろう」と述べた。また、付随論説の著者である米ハーバード大学医学部のDhruv S. Kazi氏は、AHAの統計結果を受けて、「リスクと転帰の格差は、高リスク集団に合わせた個別の介入が必要であることを示唆している。CVDの治療に関しては、画期的な治療を解決することも大事だが、治療を最も必要としている人々が、利用しやすく、手頃な価格で受けられるものでなければならない」と提言した。なお、複数の著者が製薬企業とのつながりを明らかにしている。(HealthDay News 2025年1月27日)https://www.healthday.com/healthpro-news/cardiovascular-diseases/updated-heart-disease-stroke-statistics-presented-for-2025Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
米国心臓協会(AHA)は、国立衛生研究所(NIH)と共同で、心臓病、脳卒中、心血管リスク要因に関する最新の統計を毎年報告している。この度、2025年度版の統計結果を、同協会のチェアマンであり、米ジョンズホプキンス大学医学部心臓病学科のSeth S. Martin氏らがまとめた報告が、「Circulation」に1月25日掲載された。2025年版では、いくつかの重要な領域における健康の公平性に引き続き焦点を当て、昨年の統計更新版以来、改善された手法と新しく組み込まれた約3000の新しいデータソースを反映し、より強化されたグローバルなデータが含まれる。今回発表された心血管疾患(CVD)のリスクに関する統計結果(サマリー)は以下のとおり。・心血管の健康:米国全国民健康・栄養調査(NHANES)の2007~2018年までの参加者のデータではAHA Life's Essential 8スコアと、CVDの有病率は関連していた。AHA Life's Essential 8スコアの標準偏差が1増加するごとに、心血管疾患のオッズが低下(オッズ比0.64)。・喫煙:過去20年間で成人および若者の喫煙率は一貫して減少するも、年齢、人種間で格差が認められた。・運動:過去10年間(2011~2021年)で60分以上体を動かしている高校生の割合は28.7%から23.9%へ減少。・栄養:米国国民の大半は、食生活の質と食生活指針の遵守状況を示す健康的食事指数(HEI)の観点からは、健康的な食生活を送っていない。HEIは、10年間でわずかに改善されたものの、平均スコアは59点(100点満点)だった。・過体重・肥満:2017~2020年までのデータによると、成人の肥満有病率は男女ともに41.8%だった。・高血中コレステロール・その他脂質:リポ蛋白(a)はCVDのリスク上昇と関連するため、米国では少なくとも1回のスクリーニングが勧奨されているが、依然としてスクリーニング率は低い。・高血圧:高血圧の有病率は年齢とともに増加し、20~44歳では28.5%、65歳以上では76.5%だった。・糖尿病:CVDは依然として糖尿病患者の主要な死因である。成人で糖尿病を治療によりコントロールできているのは20.7%に過ぎない。・睡眠:不眠症状を訴える頻度は、女性の方が男性より1.5~2.3倍高い。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発症リスクおよび睡眠障害の報告リスクは、健康的な食生活を送っている人ほど低い。著者らはこの統計結果について、「今回の統計結果の更新は、入手可能な最良のデータを求める、一般の人々、政策立案者、メディア、医療従事者、研究者などにとって重要なリソースとなるだろう」と述べた。また、付随論説の著者である米ハーバード大学医学部のDhruv S. Kazi氏は、AHAの統計結果を受けて、「リスクと転帰の格差は、高リスク集団に合わせた個別の介入が必要であることを示唆している。CVDの治療に関しては、画期的な治療を解決することも大事だが、治療を最も必要としている人々が、利用しやすく、手頃な価格で受けられるものでなければならない」と提言した。なお、複数の著者が製薬企業とのつながりを明らかにしている。(HealthDay News 2025年1月27日)https://www.healthday.com/healthpro-news/cardiovascular-diseases/updated-heart-disease-stroke-statistics-presented-for-2025Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock