新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック初期に米国で生じていた、眼科手術件数への影響が明らかになった。米バージニア・コモンウェルス大学のRaziyeh Mahmoudzadeh氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Ophthalmology」に2月6日掲載された。COVID-19パンデミック中に多くの待機手術が延期されていたことが報告されている。しかし、眼科手術への影響に関しては、限られた疾患や単施設での報告があるのみで、包括的な解析がなされていない。これを背景にMahmoudzadeh氏らは、米国において主に高齢者が加入しているメディケアの大規模データを用いた横断的解析を行った。解析にはパンデミック直前の1年に当たる2019年と、パンデミック発生直後の1年に当たる2020年のデータを使用。2016~2020年に施行件数上位10位に入っていた外科的処置について、その治療を受けた患者数の変化を検討した。2019年における眼科手術の患者数は、10種類の処置の合計で387万9,533件であったものが、2020年には318万1,439件に減少していた(-17.9%〔99%信頼区間-24.8~-11.3〕)。処置の種類別に見ると、最大の減少はレーザー周辺虹彩切開術(-43.6%〔同-51.7~-31.9〕)であり、最も変化が少なかったのは硝子体内注射だった(-1.5%〔-3.3~0.3〕)。それら以外の変化は以下のとおり。局所網膜光凝固(-30.1%〔-43.6~-22.9〕)、汎網膜光凝固(-29.3%〔-34.9~-20.9〕)、眼瞼・睫毛内反手術(-28.5〔-38.2~-20.9〕)、白内障手術(-23.0%〔-28.8~-18.7〕)、後発白内障レーザー手術(-19.8%〔-22.8~-15.8〕)、レーザー線維柱帯形成術(-16.7%〔-23.2~-11.1〕)、涙点閉鎖(-14.9%〔-21.7~-9.3〕)。次に、米国を四つの地域に分け、施行件数の多い白内障手術と硝子体内注射への影響を地域別に見ると、前者の白内障手術については全ての地域で患者数が減少し、北東部(-27.9%〔-32.8~-22.3〕)で最も大きく減少していた。一方、後者の硝子体内注射については中西部(-2.6%〔-4.1~-0.4〕)や北東部(-3.4%〔-8.7~10.2〕)などで減少傾向だったのに対して、南部(1.1%〔-3.1~3.9〕)は増加傾向だった。著者らは、「眼科の一般的な10種類の外科的処置が、COVID-19パンデミック発生とともに17.9%減少していた。他科と比較すると、影響は少なかったようだ」と述べている。論文の研究背景には、耳鼻咽喉科で97%減、泌尿器科で44%減といった手術件数減少を示す先行研究のデータが紹介されている。なお、1人の著者が、リジェネロン、アラガンなど複数の製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2025年2月18日)https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/2019-to-2020-saw-179-percent-decrease-in-ophthalmic-procedures-in-seniorsCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック初期に米国で生じていた、眼科手術件数への影響が明らかになった。米バージニア・コモンウェルス大学のRaziyeh Mahmoudzadeh氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Ophthalmology」に2月6日掲載された。COVID-19パンデミック中に多くの待機手術が延期されていたことが報告されている。しかし、眼科手術への影響に関しては、限られた疾患や単施設での報告があるのみで、包括的な解析がなされていない。これを背景にMahmoudzadeh氏らは、米国において主に高齢者が加入しているメディケアの大規模データを用いた横断的解析を行った。解析にはパンデミック直前の1年に当たる2019年と、パンデミック発生直後の1年に当たる2020年のデータを使用。2016~2020年に施行件数上位10位に入っていた外科的処置について、その治療を受けた患者数の変化を検討した。2019年における眼科手術の患者数は、10種類の処置の合計で387万9,533件であったものが、2020年には318万1,439件に減少していた(-17.9%〔99%信頼区間-24.8~-11.3〕)。処置の種類別に見ると、最大の減少はレーザー周辺虹彩切開術(-43.6%〔同-51.7~-31.9〕)であり、最も変化が少なかったのは硝子体内注射だった(-1.5%〔-3.3~0.3〕)。それら以外の変化は以下のとおり。局所網膜光凝固(-30.1%〔-43.6~-22.9〕)、汎網膜光凝固(-29.3%〔-34.9~-20.9〕)、眼瞼・睫毛内反手術(-28.5〔-38.2~-20.9〕)、白内障手術(-23.0%〔-28.8~-18.7〕)、後発白内障レーザー手術(-19.8%〔-22.8~-15.8〕)、レーザー線維柱帯形成術(-16.7%〔-23.2~-11.1〕)、涙点閉鎖(-14.9%〔-21.7~-9.3〕)。次に、米国を四つの地域に分け、施行件数の多い白内障手術と硝子体内注射への影響を地域別に見ると、前者の白内障手術については全ての地域で患者数が減少し、北東部(-27.9%〔-32.8~-22.3〕)で最も大きく減少していた。一方、後者の硝子体内注射については中西部(-2.6%〔-4.1~-0.4〕)や北東部(-3.4%〔-8.7~10.2〕)などで減少傾向だったのに対して、南部(1.1%〔-3.1~3.9〕)は増加傾向だった。著者らは、「眼科の一般的な10種類の外科的処置が、COVID-19パンデミック発生とともに17.9%減少していた。他科と比較すると、影響は少なかったようだ」と述べている。論文の研究背景には、耳鼻咽喉科で97%減、泌尿器科で44%減といった手術件数減少を示す先行研究のデータが紹介されている。なお、1人の著者が、リジェネロン、アラガンなど複数の製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。(HealthDay News 2025年2月18日)https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/2019-to-2020-saw-179-percent-decrease-in-ophthalmic-procedures-in-seniorsCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock