新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の罹患後症状(post-COVID condition;PCC、long COVIDともいう)は、依然として小児に影響を及ぼしており、現在PCCを有している児の80%に何らかの活動制限が生じていることが、「JAMA Pediatrics」に2月3日掲載された論文で明らかにされた。米疾病対策センター(CDC)のNicole D. Ford氏らは、2023年の米国国民健康面接調査(National Health Interview Survey;NHIS)のデータを用いて、米国の0~17歳の小児における過去および現在のPCC有病率と、現在PCCを有している児の活動制限についての評価を行った。対象児の親にインタビューを実施し、児のCOVID-19罹患歴について尋ね、罹患歴のある児については、罹患前にはなかった3カ月以上続く症状(PCC)の経験の有無を確認した。PCCを経験したことがある児を「PCC経験あり」とし、その中で現在も症状を有している場合を「現在PCCあり」とした。さらに、PCCを現在も有している児については、親に、COVID-19罹患前と比べ、日常生活における活動制限が「全くない」「少しある」「大いにある」のいずれかを答えさせた。PCCの有病率は、Clopper-Pearson法を用いた95%信頼区間(CI)で推定した。また、ペアワイズ検定および線形トレンド検定を用いて、社会人口統計学的要因別にPCC有病率の差を検討した。重み付けされていない7,585人(米国全体の人口に換算すると7102万7,000人に相当)を対象に解析を行った。その結果、2023年には、101万4,000人(1.4%)の児がPCCを経験し、29万3,000人(0.4%)は本研究のインタビュー実施時点でPCCを有していると推定された。「PCC経験あり」と「現在PCCあり」に該当する児の割合は(以下、この順)、0〜5歳では0.9%(95%CI 0.5〜1.4)と0.2%(同0.1〜0.6)、6〜11歳では1.0%(同0.7〜1.5)と0.2%(同0.1〜0.6)、12〜17歳では2.3%(同1.7〜2.9)と0.8%(同0.5〜1.2)であり、どちらも年齢が上がるにつれ上昇していた。男児は1.2%(同0.9~1.7)と0.4%(同0.2~0.7)、女児は1.6%(同1.2~2.1)と0.5%(同0.3~0.8)で、女児の方がどちらもやや高かった。また、世帯収入別に見ると、貧困線未満(<100% income-to-poverty ratio)の世帯では2.6%(同1.5〜3.6)と0.9%(同0.2~1.5)で、どちらもこれ以上の収入の世帯より突出して高かった。さらに、新型コロナワクチンを1回でも接種した児では1.8%(同1.3~2.4)と0.6%(同0.3~1.0)であり、接種しなかった児での1.3%(同0.9~1.7)と0.3%(同0.2~0.5)より、どちらも高かった。「現在PCCあり」の小児の80.0%(同62.8〜91.7%)はCOVID-19罹患前と比べて何らかの活動制限を経験していた。著者らは、「現在もPCCを有している小児の大部分に何らかの活動制限が生じている。今後、活動制限がどれほど重いのか、機能的な状態はどうなのか、学校の欠席頻度はどの程度かなどを調査しなければならない」と述べている。(HealthDay News 2025年2月12日)https://www.healthday.com/healthpro-news/coronavirus/in-2023-14-percent-of-us-children-ever-experienced-post-covid-conditionCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の罹患後症状(post-COVID condition;PCC、long COVIDともいう)は、依然として小児に影響を及ぼしており、現在PCCを有している児の80%に何らかの活動制限が生じていることが、「JAMA Pediatrics」に2月3日掲載された論文で明らかにされた。米疾病対策センター(CDC)のNicole D. Ford氏らは、2023年の米国国民健康面接調査(National Health Interview Survey;NHIS)のデータを用いて、米国の0~17歳の小児における過去および現在のPCC有病率と、現在PCCを有している児の活動制限についての評価を行った。対象児の親にインタビューを実施し、児のCOVID-19罹患歴について尋ね、罹患歴のある児については、罹患前にはなかった3カ月以上続く症状(PCC)の経験の有無を確認した。PCCを経験したことがある児を「PCC経験あり」とし、その中で現在も症状を有している場合を「現在PCCあり」とした。さらに、PCCを現在も有している児については、親に、COVID-19罹患前と比べ、日常生活における活動制限が「全くない」「少しある」「大いにある」のいずれかを答えさせた。PCCの有病率は、Clopper-Pearson法を用いた95%信頼区間(CI)で推定した。また、ペアワイズ検定および線形トレンド検定を用いて、社会人口統計学的要因別にPCC有病率の差を検討した。重み付けされていない7,585人(米国全体の人口に換算すると7102万7,000人に相当)を対象に解析を行った。その結果、2023年には、101万4,000人(1.4%)の児がPCCを経験し、29万3,000人(0.4%)は本研究のインタビュー実施時点でPCCを有していると推定された。「PCC経験あり」と「現在PCCあり」に該当する児の割合は(以下、この順)、0〜5歳では0.9%(95%CI 0.5〜1.4)と0.2%(同0.1〜0.6)、6〜11歳では1.0%(同0.7〜1.5)と0.2%(同0.1〜0.6)、12〜17歳では2.3%(同1.7〜2.9)と0.8%(同0.5〜1.2)であり、どちらも年齢が上がるにつれ上昇していた。男児は1.2%(同0.9~1.7)と0.4%(同0.2~0.7)、女児は1.6%(同1.2~2.1)と0.5%(同0.3~0.8)で、女児の方がどちらもやや高かった。また、世帯収入別に見ると、貧困線未満(<100% income-to-poverty ratio)の世帯では2.6%(同1.5〜3.6)と0.9%(同0.2~1.5)で、どちらもこれ以上の収入の世帯より突出して高かった。さらに、新型コロナワクチンを1回でも接種した児では1.8%(同1.3~2.4)と0.6%(同0.3~1.0)であり、接種しなかった児での1.3%(同0.9~1.7)と0.3%(同0.2~0.5)より、どちらも高かった。「現在PCCあり」の小児の80.0%(同62.8〜91.7%)はCOVID-19罹患前と比べて何らかの活動制限を経験していた。著者らは、「現在もPCCを有している小児の大部分に何らかの活動制限が生じている。今後、活動制限がどれほど重いのか、機能的な状態はどうなのか、学校の欠席頻度はどの程度かなどを調査しなければならない」と述べている。(HealthDay News 2025年2月12日)https://www.healthday.com/healthpro-news/coronavirus/in-2023-14-percent-of-us-children-ever-experienced-post-covid-conditionCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock