卵円孔開存症(PFO)などの先天性心疾患(単純CHD)は、生命予後は比較的良好なものの、てんかんを含む神経疾患の長期的リスクが高い可能性が報告されている。ただし、単純CHDの疾患ごとのリスクは十分に明らかになっていない。四川大学(中国)のLei Chen氏らは、2008年1月~2022年6月に同大学華西病院CHDセンターで登録された、心房中隔欠損症(ASD)、動脈管開存症(PDA)、心室中隔欠損症(VSD)、およびPFOという4疾患の患者を対象とする前向きコホート研究により、単純CHDの疾患別てんかんリスクを検討。「CNS Neuroscience & Therapeutics」に2月7日、論文が掲載された。てんかんの既往のある患者、2種類以上の単純CHDを有する患者などを除外し、1万914人を、追跡不能または研究期間終了まで、てんかん診断の有無を追跡調査した。ベースライン時点の患者特性は、年齢が中央値35歳(四分位範囲14~54)、女性60.67%で、ASDが45.68%、PDA13.12%、VSD21.64%、PFO19.56%だった。平均2.19年の追跡で、108人がてんかんと診断された。1,000人年当たりの発症率は、ASD群2.63、PDA群3.98、VSD群4.85、PFO群8.58だった。交絡因子(年齢、性別、民族的マイノリティー、早産、出生児低酸素症、単純CHD以外の先天異常、熱性けいれん・片頭痛・高血圧・糖尿病・脳卒中の既往、飲酒・喫煙習慣)を調整後、ASD群を基準に他の群のてんかん発症リスクを比較すると、PDA群(リスク比〔RR〕1.46〔95%信頼区間0.70~2.82〕)とVSD群(RR1.47〔同0.79~2.68〕)はリスク差が非有意で、PFO群(RR3.28〔同2.00~5.43〕)のみリスクが有意に高かった。解析対象者のうち66.86%は、単純CHDに対する手術治療後であった(ASD群は79.42%、PDA群79.96%、VSD群80.10%、PFO群13.16%)。手術歴の有無によるサブグループ解析の結果、手術治療後の患者はてんかんリスクが低い傾向が認められた。特にPFO群は、手術を受けていない患者はASD群に対してRR2.55(同1.27~5.68)と有意にハイリスクだったが、PFO閉鎖術後の患者はRR1.92(同0.58~5.26)であり、ASD群とのリスク差が非有意だった。Chen氏は、「これらの知見は、PFOと神経疾患リスクとの関連に関する今後の研究に影響を及ぼすとともに、PFO患者のてんかんの予防と治療においても重要な意味を持つだろう」と述べている。(HealthDay News 2025年2月11日)https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/simple-congenital-heart-diseases-tied-to-higher-epilepsy-riskCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
卵円孔開存症(PFO)などの先天性心疾患(単純CHD)は、生命予後は比較的良好なものの、てんかんを含む神経疾患の長期的リスクが高い可能性が報告されている。ただし、単純CHDの疾患ごとのリスクは十分に明らかになっていない。四川大学(中国)のLei Chen氏らは、2008年1月~2022年6月に同大学華西病院CHDセンターで登録された、心房中隔欠損症(ASD)、動脈管開存症(PDA)、心室中隔欠損症(VSD)、およびPFOという4疾患の患者を対象とする前向きコホート研究により、単純CHDの疾患別てんかんリスクを検討。「CNS Neuroscience & Therapeutics」に2月7日、論文が掲載された。てんかんの既往のある患者、2種類以上の単純CHDを有する患者などを除外し、1万914人を、追跡不能または研究期間終了まで、てんかん診断の有無を追跡調査した。ベースライン時点の患者特性は、年齢が中央値35歳(四分位範囲14~54)、女性60.67%で、ASDが45.68%、PDA13.12%、VSD21.64%、PFO19.56%だった。平均2.19年の追跡で、108人がてんかんと診断された。1,000人年当たりの発症率は、ASD群2.63、PDA群3.98、VSD群4.85、PFO群8.58だった。交絡因子(年齢、性別、民族的マイノリティー、早産、出生児低酸素症、単純CHD以外の先天異常、熱性けいれん・片頭痛・高血圧・糖尿病・脳卒中の既往、飲酒・喫煙習慣)を調整後、ASD群を基準に他の群のてんかん発症リスクを比較すると、PDA群(リスク比〔RR〕1.46〔95%信頼区間0.70~2.82〕)とVSD群(RR1.47〔同0.79~2.68〕)はリスク差が非有意で、PFO群(RR3.28〔同2.00~5.43〕)のみリスクが有意に高かった。解析対象者のうち66.86%は、単純CHDに対する手術治療後であった(ASD群は79.42%、PDA群79.96%、VSD群80.10%、PFO群13.16%)。手術歴の有無によるサブグループ解析の結果、手術治療後の患者はてんかんリスクが低い傾向が認められた。特にPFO群は、手術を受けていない患者はASD群に対してRR2.55(同1.27~5.68)と有意にハイリスクだったが、PFO閉鎖術後の患者はRR1.92(同0.58~5.26)であり、ASD群とのリスク差が非有意だった。Chen氏は、「これらの知見は、PFOと神経疾患リスクとの関連に関する今後の研究に影響を及ぼすとともに、PFO患者のてんかんの予防と治療においても重要な意味を持つだろう」と述べている。(HealthDay News 2025年2月11日)https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/simple-congenital-heart-diseases-tied-to-higher-epilepsy-riskCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock