スクリーンタイムと近視リスクとの非線形用量反応関係の存在が明らかになった。1日4時間まではリスクが顕著に上昇し、それ以降は緩やかに上昇するという。済州大学校病院(韓国)のAhnul Ha氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月21日掲載された。パソコン、テレビ、スマートフォン、タブレット、ゲームなどのディスプレーを見ている時間である「スクリーンタイム(ST)」の長さが近視リスクと関連のあることは、既に知られている。しかし、STと近視リスクの用量反応関係の有無や、近視リスクを高めないSTの閾値は明らかにされていない。Ha氏らは既報研究のデータを統合した解析により、これらの点を検討した。PubMed、EMBASE、CINAHL、Cochrane Libraryなどの文献データベースに、2024年11月25日までに収載された査読済み論文を対象として、発表年月や言語、研究デザインの制限を設けずに検索を実施。システマティックレビューとメタ解析の報告に関するガイドライン(PRISMA)や観察研究のメタ解析のガイドライン(MOOSE)に準拠し、1日当たり1時間のST延長と近視リスク上昇の関連を主要評価項目と設定した上で、線形用量反応関係と非線形用量反応関係を検討した。一次検索で9,549件がヒットし、重複削除後の1,674件をタイトルと要約に基づくスクリーニングにより139件に絞り込み、全文精査の結果、45件の研究報告を適格と判断した。これらの研究の参加者数は合計33万5,524人(平均年齢9.3±4.3歳)だった。45件中33件は等価球面度数、12件は自己申告により近視を定義していた。45件のデータを用いた線形用量反応関係の解析の結果、1日当たり1時間のST延長は近視の増加と有意な関連が認められた(オッズ比〔OR〕1.21〔95%信頼区間1.13~1.30〕)。研究参加者の年齢によるサブグループ解析では、2~7歳(OR1.42〔同1.12~1.78〕)、8~18歳(OR1.12〔1.07~1.18〕)、19歳以上(OR1.16〔1.02~1.32〕)の全てで有意な関連があった。また、横断研究/縦断研究に分けた解析、アジア/アジア以外に分けた解析でも、いずれも有意な関連が認められた。非線形用量反応関係の解析に必要な情報を含む34件(31万4,910人)のデータを用いた解析からは、1日当たりのSTが1時間(OR1.05〔1.01~1.09〕)から4時間(OR1.97〔1.56~2.40〕)までは、STの延長とともに近視のオッズ比が大きく上昇し、STが4時間を超えるとオッズ比上昇が緩やかになることが示された。著者らは、「STが1日1時間未満であれば近視リスクは高くないようだが、それを超えて4時間まではリスクが顕著に上昇する。この知見は、近視パンデミック対策のための公衆衛生施策に生かせるのではないか」と述べている。(HealthDay News 2025年2月25日)https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/daily-screen-time-tied-to-higher-myopia-riskCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
スクリーンタイムと近視リスクとの非線形用量反応関係の存在が明らかになった。1日4時間まではリスクが顕著に上昇し、それ以降は緩やかに上昇するという。済州大学校病院(韓国)のAhnul Ha氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月21日掲載された。パソコン、テレビ、スマートフォン、タブレット、ゲームなどのディスプレーを見ている時間である「スクリーンタイム(ST)」の長さが近視リスクと関連のあることは、既に知られている。しかし、STと近視リスクの用量反応関係の有無や、近視リスクを高めないSTの閾値は明らかにされていない。Ha氏らは既報研究のデータを統合した解析により、これらの点を検討した。PubMed、EMBASE、CINAHL、Cochrane Libraryなどの文献データベースに、2024年11月25日までに収載された査読済み論文を対象として、発表年月や言語、研究デザインの制限を設けずに検索を実施。システマティックレビューとメタ解析の報告に関するガイドライン(PRISMA)や観察研究のメタ解析のガイドライン(MOOSE)に準拠し、1日当たり1時間のST延長と近視リスク上昇の関連を主要評価項目と設定した上で、線形用量反応関係と非線形用量反応関係を検討した。一次検索で9,549件がヒットし、重複削除後の1,674件をタイトルと要約に基づくスクリーニングにより139件に絞り込み、全文精査の結果、45件の研究報告を適格と判断した。これらの研究の参加者数は合計33万5,524人(平均年齢9.3±4.3歳)だった。45件中33件は等価球面度数、12件は自己申告により近視を定義していた。45件のデータを用いた線形用量反応関係の解析の結果、1日当たり1時間のST延長は近視の増加と有意な関連が認められた(オッズ比〔OR〕1.21〔95%信頼区間1.13~1.30〕)。研究参加者の年齢によるサブグループ解析では、2~7歳(OR1.42〔同1.12~1.78〕)、8~18歳(OR1.12〔1.07~1.18〕)、19歳以上(OR1.16〔1.02~1.32〕)の全てで有意な関連があった。また、横断研究/縦断研究に分けた解析、アジア/アジア以外に分けた解析でも、いずれも有意な関連が認められた。非線形用量反応関係の解析に必要な情報を含む34件(31万4,910人)のデータを用いた解析からは、1日当たりのSTが1時間(OR1.05〔1.01~1.09〕)から4時間(OR1.97〔1.56~2.40〕)までは、STの延長とともに近視のオッズ比が大きく上昇し、STが4時間を超えるとオッズ比上昇が緩やかになることが示された。著者らは、「STが1日1時間未満であれば近視リスクは高くないようだが、それを超えて4時間まではリスクが顕著に上昇する。この知見は、近視パンデミック対策のための公衆衛生施策に生かせるのではないか」と述べている。(HealthDay News 2025年2月25日)https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/daily-screen-time-tied-to-higher-myopia-riskCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock