新生児けいれん(発作)を経験した児は、小児期を通しててんかんを発症するリスクが高いことが、「Developmental Medicine & Child Neurology」に2月19日掲載された論文で明らかにされた。コペンハーゲン大学病院(デンマーク)のJeanette Tinggaard氏らは、1997年1月1日から2018年12月31日の間にデンマークで生まれた全ての児を対象とした登録ベースのコホート研究を実施し、新生児けいれんを経験した児(以下、けいれん経験児)と経験していない児(以下、けいれん未経験児)の間でてんかんの累積リスクを比較した。また、新生児けいれんの原因別にてんかん発症リスクを検討した。新生児期を、満期(在胎週数 37週以上)で生まれた児では出生後28日間、早産(在胎週数37週未満)で生まれた児では出産時に40週となる日までの期間とその後の28日間と、それぞれ定義した。けいれん経験児とけいれん未経験児で、てんかんの累積発症率を、Aalen-Johansen推定量を用いて、死亡を競合リスクとして年齢区分別(0〜1歳、1〜5歳、5〜10歳、10〜15歳、15〜22歳)に推定し、Grayの検定で比較した。合計129万4,377人の児が追跡調査された。このうち、1,998人(0.2%)が1回以上の新生児けいれんを経験していた。けいれん経験児の18.4%(367/1,998人)、けいれん未経験児の0.7%(9,619/129万2,379人)が、その後、てんかんの診断を受けた。けいれん経験児とけいれん未経験児のてんかんの累積発症率は、それぞれ20.4%(95%信頼区間〔CI〕18.5〜22.3)と1.15%(同1.12〜1.18)であり、けいれん経験児でてんかんリスクが有意に高く(P<0.001)、性別・在胎週数・出生年を調整したてんかんの調整ハザード比(aHR)は27.11(同24.42〜30.09)と推定された。てんかんの累積発症率を診断時の年齢区分別に見たところ、けいれん経験児の11.4%(95%CI 10.0〜12.8)が0〜1歳で診断を受けていた(けいれん未経験児で0.15%〔同0.15〜0.16〕)。けいれん経験児の中からはその後もてんかんを発症する者が出続け、1~5歳で4.5%、5~10歳で3.1%、10~22歳で1.4%がてんかんの診断を受けた。けいれんの原因別にてんかんのリスクを推算したところ、脳梗塞・脳出血・核黄疸(ビリルビン脳症)・奇形の見られた児(aHR 2.49、95%CI 1.98〜3.14)、および新生児仮死(出生5分後のアプガースコア7未満)を経験した児(同1.49、1.12〜1.98)でてんかんのリスクが有意に高かった。著者らは、「新生児けいれんを経験した児では、その後、てんかんを発症するリスクが大幅に高いことが判明した。リスクが最も高かったのは生後1年間だが、その後も思春期までリスクは高いままであった」と述べている。(HealthDay News 2025年2月24日)https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/cumulative-epilepsy-risk-higher-after-neonatal-seizuresCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock