大気汚染が高齢者の認知機能に対し、領域ごとに異なる影響を及ぼすという研究結果が、「The Journals of Gerontology, Series A」5月号に掲載された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のGiorgio Di Gessa氏らは、高齢者の認知スコアと8~10年間の大気汚染物質(二酸化窒素〔NO2〕、総微小粒子状物質〔PM2.5〕、排出源別のPM2.5)への曝露との関連を検討した。この解析には、English Longitudinal Study of Ageingのサブスタディである2018 Harmonized Cognitive Assessment Protocol試験の対象者1,127人が含まれた。解析の結果、大気汚染物質への曝露歴と認知機能の間には、ほぼ逆のJ型相関が認められ、NO2濃度と総PM2.5濃度が最も高い地域に住む対象者の方が、平均的な濃度の汚染物質に曝露された対象者と比較して、認知機能全般が低かった(それぞれβ=−0.241、−0.334)。実行機能と記憶(PM2.5のみ)についても同様の結果が認められ、言語についてはさらに大きな量反応関係が認められた。バイオ燃料、石炭、石油、天然ガスの燃焼、産業活動や家庭における燃焼による排出量が多いほど、言語スコアが低かった。Di Gessa氏は、「本研究により、大気汚染が肺や心臓のみならず、脳の健康にも悪影響を及ぼし、特に高濃度への長期間曝露は有害であることを示している」と述べている。(HealthDay News 2025年4月15日)https://www.healthday.com/healthpro-news/environmental-health/air-pollution-exposure-negatively-impacts-some-domains-of-cognitive-performanceCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock