前立腺がんに対する根治的前立腺全摘除術(RP)後は前立腺特異抗原(PSA)値を3カ月以上にわたり測定することで、RP後の過剰治療リスクを最小限に抑えられる可能性があるという研究結果が「JAMA Oncology」に3月13日掲載された。ハンブルク・エッペンドルフ大学病院(ドイツ)のDerya Tilki氏らは、RP後の持続的なPSA値を正確に記録するために必要なモニタリング期間について、コホート研究で調査を行った。この研究には、1992年から2020年の間に2カ所の大学病院でRPを受けたT1N0M0からT3N0M0の前立腺がん患者を対象とした。探索コホートには3万461人の患者が、検証コホートには1万2837人の患者が含まれた。その結果、持続的にPSAが検出された患者では、PSAが検出不能だった患者と比べて、RP施行前のPSA値が20ng/mLを超える群では、20ng/mL以下の群と比べて、全死因死亡(ACM)リスクおよび前立腺がん特異的死亡(PSCM)リスクがいずれも有意に低下した(調整後ハザード比はそれぞれ0.69、0.41)。この結果は、前立腺体積を調整した後も維持され、PCSMリスクに関する検証コホートでも認められた。一方、RP施行前のPSA値が20ng/mLを超える群では、20ng/mL以下の群と比べて、RP施行後の放射線療法とアンドロゲン除去療法(ADT)またはADTの使用頻度が高く、治療開始までの期間が短かった(中央値2.68カ月で54.7%対中央値3.30カ月で34.8%)。この期間は、観察対象とした患者におけるPSAが検出不能となるまでの期間(中央値2.96カ月)よりも短かった。さらに、持続的なPSA値の上昇とACMおよびPSCMのリスク増加との間に関連が認められた(調整ハザード比はそれぞれ1.14、1.27)。著者らは「これらの結果の臨床的意義は、過剰治療リスクを最小限に抑えるために、RP施行後に持続的なPSA高値と判断して術後治療を開始する前に、一般的な1.5~2.0カ月間という期間よりも長期にわたってPSAをモニタリングする必要性を強調していることにある」と述べている。なお、著者の一人は特定のバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年3月27日)https://www.healthday.com/healthpro-news/cancer/longer-psa-monitoring-in-patients-with-persistent-psa-may-reduce-overtreatmentCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
前立腺がんに対する根治的前立腺全摘除術(RP)後は前立腺特異抗原(PSA)値を3カ月以上にわたり測定することで、RP後の過剰治療リスクを最小限に抑えられる可能性があるという研究結果が「JAMA Oncology」に3月13日掲載された。ハンブルク・エッペンドルフ大学病院(ドイツ)のDerya Tilki氏らは、RP後の持続的なPSA値を正確に記録するために必要なモニタリング期間について、コホート研究で調査を行った。この研究には、1992年から2020年の間に2カ所の大学病院でRPを受けたT1N0M0からT3N0M0の前立腺がん患者を対象とした。探索コホートには3万461人の患者が、検証コホートには1万2837人の患者が含まれた。その結果、持続的にPSAが検出された患者では、PSAが検出不能だった患者と比べて、RP施行前のPSA値が20ng/mLを超える群では、20ng/mL以下の群と比べて、全死因死亡(ACM)リスクおよび前立腺がん特異的死亡(PSCM)リスクがいずれも有意に低下した(調整後ハザード比はそれぞれ0.69、0.41)。この結果は、前立腺体積を調整した後も維持され、PCSMリスクに関する検証コホートでも認められた。一方、RP施行前のPSA値が20ng/mLを超える群では、20ng/mL以下の群と比べて、RP施行後の放射線療法とアンドロゲン除去療法(ADT)またはADTの使用頻度が高く、治療開始までの期間が短かった(中央値2.68カ月で54.7%対中央値3.30カ月で34.8%)。この期間は、観察対象とした患者におけるPSAが検出不能となるまでの期間(中央値2.96カ月)よりも短かった。さらに、持続的なPSA値の上昇とACMおよびPSCMのリスク増加との間に関連が認められた(調整ハザード比はそれぞれ1.14、1.27)。著者らは「これらの結果の臨床的意義は、過剰治療リスクを最小限に抑えるために、RP施行後に持続的なPSA高値と判断して術後治療を開始する前に、一般的な1.5~2.0カ月間という期間よりも長期にわたってPSAをモニタリングする必要性を強調していることにある」と述べている。なお、著者の一人は特定のバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年3月27日)https://www.healthday.com/healthpro-news/cancer/longer-psa-monitoring-in-patients-with-persistent-psa-may-reduce-overtreatmentCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock