新たに急性骨髄性白血病(AML)と診断された患者において、測定可能な残存病変(MRD)の分子モニタリングと、その結果に連動した治療は、NPM1遺伝子変異およびFLT3遺伝子変異を有する患者の生存率改善に寄与するが、AML患者集団全体の全生存率を改善するわけではないという研究結果が、「The Lancet Haematology」5月号に掲載された。 英キングス・カレッジ・ロンドンのNicola Potter氏らは、2件の臨床試験に登録された16〜60歳の新規発症AML患者において、MRDの結果に基づく治療の変更が生存率を改善するかどうかを検討した。患者は、NPM1変異および融合遺伝子を含む、疾患モニタリングに適した分子マーカーについてスクリーニングされた。マーカー陽性患者は、治療中およびその後3年間、連続的なMRDの分子モニタリングを受ける群と、分子モニタリングを実施せずに標準的な臨床ケアを受ける群にランダムに割り付けられた。AML17試験では289人がMRDモニタリング群、144人が非モニタリング群に、AML19試験では136人がMRDモニタリング群、68人が非モニタリング群に割り付けられた。 解析の結果、3年時点の全生存率はモニタリング群で70%、非モニタリング群で73%であり、追跡期間中央値は4.9年であった。2件の臨床試験のメタアナリシスでは、全生存率に差は見られなかった。NPM1変異とFLT3遺伝子内縦列重複(ITD)変異の両方を有する患者では、3年時点の全生存率がモニタリング群で69%、非モニタリング群で58%であった(ハザード比0.53)。FLT3-ITD変異を有さないがNPM1変異を有する患者、または融合遺伝子転写産物を有する患者において、ランダム割り付けによる生存率の差は見られなかった。 共著者である英ガイズ病院・聖トーマス病院NHS財団トラストのNigel Russell氏は、「この進行の速いがんに最適な治療法については、解明すべきことがまだ多くある。われわれの研究が、患者の再発リスクを検出する新しいアプローチを提供し、この疾患で苦しんでいる患者に希望を与えることを願う」と述べている。 なお複数の著者が、バイオ製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年5月14日) https://www.healthday.com/healthpro-news/cancer/molecular-monitoring-improves-survival-in-some-patients-with-newly-diagnosed-leukemia Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stoc