妊娠初期(妊娠20週以下)における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種は、主要な構造的先天異常の有病率上昇とは関連しないことが、「Pediatrics」に3月14日掲載された論文で明らかになった。 米サンフランシスコ大学のStacey L. Rowe氏らは、民間保険および公的保険(メディケイド)の請求データを用いたコホート研究を実施し、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の有無、保険種別(民間保険、メディケイド)、妊娠中のCOVID-19罹患の有無、COVID-19ワクチンと他の妊娠関連ワクチンの同時接種の有無により、主要な構造的先天異常の有病率を比較した。妊娠初期のCOVID-19ワクチン接種は、最終月経の14日前から妊娠20週までの期間に接種した場合と定義した。評価対象とした主要な構造的先天異常には、中枢神経系(神経管閉鎖障害、全前脳胞症、小頭症)、眼(無眼球症、小眼球症、先天性白内障)、耳(無耳症、小耳症)、呼吸器系(後鼻孔閉鎖症)、泌尿生殖器系(膀胱外反症、腎形成異常、後部尿道弁、尿道下裂)、筋骨格系(腹壁破裂、臍帯ヘルニア、四肢欠損)、消化器系(胆道閉鎖症、食道閉鎖、小腸閉鎖、幽門狭窄、小腸の他の奇形、先天性ヘルニア、口唇口蓋裂)、先天性心疾患を含めた。COVID-19ワクチン接種の有無やその他の条件における主要な構造的先天異常の有病率の差は、逆確率重み付け二項回帰モデルにより調整有病率比(adjusted prevalence ratio;aPR)を算出して比較した。 最終的に解析対象者として適格基準を満たした妊婦7万8,052人が抽出された(民間保険加入者53.5%、公的保険加入者46.5%)。このうちの16.3%(1万2,725人)が妊娠初期にCOVID-19ワクチンを接種していた。構造的な先天異常は1,248例確認された(出生1万対159.9)。最も多かった先天異常は尿道下裂(292例、出生1万対37.4)、次いで先天性心疾患(212例、同27.2)だった。 構造的先天異常の有病率を見ると、COVID-19ワクチン未接種者では1,049例(出生1万対160.6)、接種者では199例(出生1万対156.4)で、接種者のaPRは0.97(95%信頼区間0.84〜1.13)となり、有意差はなかった。同様に、諸条件下における接種者のaPRを算出したところ、公的保険加入者で0.80(同0.52〜1.24)、妊娠中にCOVID-19に罹患した者で1.08(同0.55〜2.12)、他の妊娠関連ワクチンも接種した者で0.82(同0.57〜1.20)となり、いずれも有意差はなかった。 著者らは、「本研究の結果は他の類似研究の結果と一致しており、妊娠初期にCOVID-19ワクチンを接種した者や、今後ワクチン接種を検討しているワクチン提供者に安心感を与えることだろう」と述べている。 なお、2人の著者が、モデルナ社やファイザー社を含む製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年3月14日) https://www.healthday.com/healthpro-news/pregnancy/covid-19-vaccination-not-linked-to-major-structural-birth-defects Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock