びまん性神経膠腫患者ではTREが30~80%と高頻度に見られることが報告されているが、その関連因子や予後への影響は明らかにされていない。華中科技大学(中国)のYao Xiao氏らは、多施設共同リアルワールド研究によりその実態を調査し、結果が「Brain and Behavior」に5月5日掲載された。 この研究は後方視的研究であり、2013年から2021年に華中科技大学の関連2病院で手術を受けた症例、およびフランスの脳腫瘍データベース(POLA network)から、神経膠腫の患者(それぞれ1,494人、124人)を初期登録した。これらから、18歳未満、世界保健機関(WHO)の組織学的悪性度分類がグレードI、脳腫瘍再発例、頭部外傷の既往、およびイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)遺伝子型が不明な患者などを除外した920人を解析対象とした。 対象全体を、IDH変異型で低悪性度(WHOグレードII~III)の乏突起膠腫(OD)または星細胞腫(AC)の患者(OD/AC群〔356人〕)、IDH野生型で他のカテゴリーに分類されない(NOS/NEC)低悪性度の患者(NOS/NEC群〔159人〕)、および高悪性度神経膠腫(HGG)の患者(HGG群〔405人〕)という3群に分類。これら各群のTREを有する割合は、OD/AC群44.4%、NOS/NEC群25.8%、HGG群16.5%だった。 多変量解析の結果、OD/AC群においてはTREの唯一の独立した負の関連因子として年齢が特定され、高齢であるほどTREが少なかった(オッズ比〔OR〕0.961〔95%信頼区間0.934~0.987〕)。それに対してNOS/NEC群やHGG群では年齢との関連は有意でなく、脳深部構造への浸潤がないことが唯一の独立した負の関連因子だった(NOS/NEC群はOR0.115〔同0.036~0.343〕、HGG群はOR0.176〔0.066~0.479〕)。 予後との関連については、単変量解析ではTREの存在は3群全てにおいて、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間の延長と関連していた。特にNOS/NEC群では、TREがない場合のPFSが中央値13.6カ月(7.2~37.1)であるのに対して、TREを有する場合は同35.2カ月(24.6~未到達)であった(P=0.02)。ただし多変量解析では、TREの有無は予後因子として特定されなかった。その一方、再発を来した患者(193人)において、組織学的悪性度が初発時から進展していないことと関連する唯一の因子として、TREの存在が特定され(ハザード比0.09〔0.01~0.64〕)、TREのない患者は再発時に悪性度が高くなりやすいことが示唆された。 これらの結果に基づきXiao氏らは、「びまん性神経膠腫の予後は、病態の根底にある生物学的因子やその他の臨床因子によって規定されるのではないか」と述べている。(HealthDay News 2025年5月21日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/tumor-related-epilepsy-not-strong-prognostic-factor-in-diffuse-glioma Abstract/Full Texthttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/brb3.70510 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock