生涯のある時点でうつ病・抑うつを有することは、認知症の発症リスク上昇と関連する可能性があるという研究結果が、「eClinicalMedicine」に5月29日掲載された。 英ノッティンガム大学医学部のJacob Brain氏らは、うつ病と認知症の関連性について、その時間的関係から検討を行うため、アンブレラレビューおよびメタ解析を実施した。 特定された7,763件のうち9件のレビューが適格となり、アンブレラレビューに含まれた。レビューの質は「中」が1件、「低」が3件、「とても低い」が5件であった。メタ解析には、高齢期のうつ病・抑うつの発症に関する研究18件(対象者90万1,762人)と、中年期のうつ病・抑うつに関する研究7件(対象者250万1,269人)が含まれた。これらの研究はいずれも質が高く、出版バイアスに関する確かな証拠も確認されなかった。解析の結果、統合ハザード比に基づくと、高齢期および中年期にうつ病・抑うつを有することは、あらゆる原因による認知症の発症リスク上昇に有意に関連することが示された(ハザード比はそれぞれ1.95、1.56)。 著者らは、「本アンブレラレビューおよびメタ解析から、生涯のある時点で、特に高齢期においてうつ病・抑うつを有することは、認知症の発症リスク上昇と関連していることが示された。すなわち、うつ病・抑うつが認知症の前駆症状である可能性と、認知症の修正可能なリスク因子である可能性の、両方の可能性が示唆される。このことは、特に高齢者に的を絞ったスクリーニングおよびうつ病管理の必要性を浮き彫りにしている」と述べている。 なお1人の著者が、出版企業、教育企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年6月3日) https://www.healthday.com/healthpro-news/mental-health/depression-across-the-life-course-linked-to-increased-risk-for-dementia Abstract/Full Texthttps://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(25)00198-1/fulltext Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock