前眼部構造を詳細に画像化可能な光干渉断層計(SS-ASOCT)の小児緑内障早期診断における有用性が報告された。角膜混濁を来す他の疾患との鑑別にも有用だという。チャンディーガル医学教育研究大学院高度眼科センター(インド)のSushmita Kaushik氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Ophthalmology」に5月22日掲載された。 早発型小児緑内障は通常、角膜混濁や牛眼、流涙などの兆候や症状に基づいて診断されるが、しばしば他の先天性疾患との鑑別が求められる。鑑別に重要な隅角鏡検査は、小児では鎮静や全身麻酔を要し、また検査を行う医師に一定のスキルが必要で、判定結果も主観的になりやすい。一方、SS-ASOCTは毎秒数万回のスキャンが可能であり、この特徴を生かし、無鎮静の小児を抱き上げ数秒で必要な画像を撮影する“flying baby”法と呼ばれる手法が行われるようになってきた。この手法では、OCT画像に基づく前眼部形成異常の定量的な評価も可能。 以上を背景としてKaushik氏らは、flying baby法の早発型小児緑内障診断への応用可能性を検討する前向き比較試験を行った。対象は2023年6月~2024年7月にインドの三次医療施設を紹介受診した、緑内障の兆候や症状を有する2歳未満の患児であり、検眼鏡所見等に基づく最終的な診断は、30人が緑内障(平均月齢18.6±14.2月)、23人が非緑内障(同17.3±4.4月)だった。 非緑内障患児は全員、角膜混濁の有無にかかわらずSS-ASOCTにより線維柱帯の構造を明瞭に視認できたが、緑内障患児でのその割合は26.7%にとどまった。その他の緑内障患児は、線維柱帯の構造が不明瞭もしくは視認不能であった。ROC解析の結果、線維柱帯の構造を明瞭に視認できるか否かによって、早発型小児緑内障を感度73.3%、特異度100%、AUC0.87(95%信頼区間0.77~0.97、P<0.001)で判定可能と計算された。 また隅角開大度(AOD)は、AOD500/250μmの順に、緑内障患児は0.64±0.23/0.43±0.18mm、非緑内障患児は0.52±0.13/0.32±0.09mmであり、緑内障患児の方が高値だった。なお、非緑内障患児のうち角膜混濁のある9人では、0.43±0.10/0.30±0.08mmだった。 著者らは、サンプルサイズが小さいことなどの限界点を挙げた上で、「非侵襲的な画像診断ツールであるSS-ASOCTは、小児の前房隅角の評価に使用可能である。また本研究の結果は、SS-ASOCTを用いることで早発型小児緑内障を他の疾患と鑑別し得ることを示唆している。鑑別に有用な最も特異的な所見は、線維柱帯構造の視認性の有無だった」と結論付けている。(HealthDay News 2025年5月23日) https://www.healthday.com/healthpro-news/eye-care/swept-source-anterior-segment-oct-can-help-distinguish-early-childhood-glaucoma Abstract/Full Texthttps://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/article-abstract/2834272 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock