高齢者のRSウイルス(RSV)感染症は、心血管疾患、特に心不全の発症リスク上昇と関連しているとする研究結果が、「Journal of the American Geriatrics Society(AGS)」に7月23日掲載された。 Health Sciences North Research Institute(カナダ)のChris P. Verschoor氏らは、2011~2020年の間にRSV感染症(2,558人)、インフルエンザ(1万6,688人)、尿路感染症(7万3,587人)、または骨折(1万1,262人)の診断で入院した65歳以上の成人を対象に、これらの疾患による入院がその後の心血管アウトカムとどのように関連するかを検討するため、後ろ向きコホート研究を実施した。 その結果、RSV関連で入院した患者の18.5%に、その後心血管イベントが発生したのに対し、インフルエンザ、尿路感染症、骨折で入院した患者では、それぞれ17.7%、12.1%、8.4%であった。マッチング解析において、RSV群は他の全ての群と比較して、その後の心不全イベントの発生率が有意に高かった(ハザード比1.48~3.74)。この傾向は、心血管疾患の既往の有無にかかわらず認められた。また、RSV群では心房細動の発症率も高かったが、これは心血管疾患の既往や比較対象群により異なった。さらに、RSV群ではICUへの転棟率も高く(オッズ比1.48~3.55)、死亡率も高かった(ハザード1.49~3.98)。 Verschoor氏は、「本研究結果により、高齢者へのRSVワクチン接種の重要性が改めて浮き彫りになった。また、RSV感染後には心疾患の兆候をモニタリングすることが現実的な対応策となり得るだろう」と述べている。(HealthDay News 2025年7月24日) https://www.healthday.com/healthpro-news/senior-health/seniors-with-rsv-linked-hospitalization-have-increased-cardiovascular-outcomes Abstract/Full Texthttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.19591 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock