てんかん手術を担当する外科医の教育や研修の内容は従来、国によって大きく異なり、それが治療アウトカムに直接影響を及ぼす可能性が指摘されている。国際抗てんかん連盟(ILAE)の外科委員会はこの課題に対応するためのタスクフォースを設置し、てんかん外科医向けの標準化カリキュラムを新たに策定した。カリキュラム策定に際しては、内容の妥当性を問う調査が世界各国の専門医を対象に実施され、その結果をまとめたウィーン医科大学(オーストリア)のChristian Dorfer氏らによる論文が、「Epileptic Disorders」に6月26日掲載された。 策定されたカリキュラムは、診断、カウンセリング、術前検査、手術手技という4領域で構成されている。これらの各領域において習得すべきスキルとして掲げられている事項について、「極めて重要(extremely important)」から「全く重要でない(not at all important)」までの5段階で評価するように求めるなど、11項目の質問と自由記述欄から成る調査票を、ILAEおよび国際てんかん外科学会(IESS)の会員に対してオンラインで送信した。 さまざまな国や専門領域から合計122件の回答があったが、72%は脳神経外科医の回答だった。全体として94%が、「自国でてんかん患者 のケアに携わる脳神経外科医のスキルを評価するためにこのカリキュラムを支持する」、および、「これらのスキルに基づきILAE修了証書を発行する研修プログラムの受講に関心がある、または推奨する」と回答した。 回答者の90%以上が「極めて重要」もしくは「大変重要(very important)」を選択した項目は24項目だった。特に、「てんかん外科における多職種チームの重要性と各職種の役割に関する知識を有する」、「側頭葉てんかんの切除術(選択的・非選択的アプローチを含む)の適応、手技、アウトカム、合併症に関する実践的知識を有する」、「てんかんに対する側頭葉外切除術の手技、アウトカム、合併症に関する実践的知識を有する」の3項目は、100%が「極めて/大変重要」と回答した。 これらの調査結果に基づき、カリキュラムの最終調整が行われた。 Dorfer氏は、「研修の基準を統一することで、世界中のてんかん患者が質の高い治療を受けられるようになる。このカリキュラムによって、てんかん手術を受ける患者の治療格差が縮小することを期待している」と述べている。(HealthDay News 2025年8月19日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/broad-support-seen-for-newly-developed-epilepsy-surgery-guideline Abstract/Full Texthttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/epd2.70054 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock