プレ広範囲薬剤耐性結核(pre-XDR結核)に対し、短期間のベダキリン、デラマニド、リネゾリド、クロファジミン(BDLC)レジメンは、長期間の標準治療と比較して非劣性を示さなかったという研究結果が、「The Lancet Respiratory Medicine」9月号に掲載された。 国境なき医師団のLorenzo Guglielmetti氏らは、BDLCレジメンの有効性と安全性を、標準治療と比較検討するため、10病院において非盲検非劣性ランダム化第Ⅲ相試験を実施した。対象となったのは、リファンピシンおよびフルオロキノロン系抗菌薬に耐性を有する15歳以上の肺結核患者で、対象者は、BDLC群(219人)と、世界保健機関(WHO)が推奨する個別化された長期間の標準治療を受ける対照群(105人)とに、2対1の比率でランダムに割り付けられた。BDLCは、病変が広範囲である対象者には9カ月間、限局している対象者には6カ月間投与された。 解析の結果、73週目で良好な転帰に達していたのは、修正intention-to-treat(mITT)集団ではBDLC群87%、対照群89%(調整リスク差0.2%、Pnon-inferiority=0.0051)、per-protocol集団ではそれぞれ88%、93%であった(同-3.5%、Pnon-inferiority=0.037)。全体として非劣性は示されなかった。グレード3以上の有害事象が1件以上発現した対象者は、BDLC群68%、対照群73%であり、73週目までに全死因死亡はそれぞれ8件(4%)、2件(2%)であった。 共著者・上席著者である米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のCarole D. Mitnick氏は、「この短期間レジメンは、全ての患者にとって確実な治療法であるとは言えない。重要な点は、この種の薬剤耐性結核の治療には、より個別化したアプローチが必要である可能性があることだ」と述べている。 なお1人の著者が、ヤンセンファーマとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年7月22日) https://www.healthday.com/healthpro-news/pulmonology/shortened-bdlc-regimen-not-noninferior-for-drug-resistant-tb Abstract/Full Texthttps://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(25)00194-8/fulltext Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock