小児てんかん患者では、睡眠時無呼吸(sleep apnea;SA)は、心臓突然死(突然の心停止、sudden cardiac arrest;SCA)、および不整脈のリスク増加と関連しているとする研究結果が、「Pediatrics」に8月19日掲載された。 てんかんを有する児における主要な死因の一つはSCAであり、1,000人に1人の割合で発生し、また、そうしたSCAの87.5%は睡眠中に生じていることがそれぞれ報告されている。このことから、SAがSCAの原因である可能性が疑われる。 国立成功大学(台湾)のPo-Ming Wu氏らは、18カ国、141カ所以上の医療機関の医療電子記録を収集しているデータベース「TriNetX」を用いて、2000年1月から2025年3月の間にてんかんの診断を受けた18歳未満の患者について、SAの有無で2つのコホートに分け、年齢・性別・既往疾患などの交絡因子を傾向スコアにより調整した上で、5年および10年間におけるSCAおよび不整脈(心室頻拍など)の発生を比較した。 SCAの発生率(1万人年当たり)は、てんかんとSAの両方を有する者で50.5、てんかんのみ有する者で20.0、SAのみ有する者で9.0であり、てんかんとSAの両方を有する者で最も高かった。カプラン・マイヤー法を用いた解析の結果、てんかんとSAの両方を有する者ではSCAリスクも不整脈リスクも有意に高く、5年間でのハザード比(HR)はSCAで1.99(95%信頼区間〔CI〕1.52〜2.61)、不整脈の全てを合わせたもので2.06(同1.78〜2.37)、また10年間のHRはそれぞれ、1.74(同1.38〜2.20)、2.06(同1.81〜2.36)であった(全てP<0.001)。 さらに、てんかんとSAの両方を有する患者において、10年間のSCAリスクに影響を及ぼす可能性のある因子についてオッズ比(OR)を算出した。その結果、CPAPの使用(OR 3.59、95%CI 2.40〜5.35)、長期間(1年以上)の持続陽圧呼吸療法(CPAP)の使用(同3.41、2.27〜5.11)、および難治性てんかん(同1.74、1.25〜2.42)がSCAリスクを有意に増加させることが示された。一方、アデノイド口蓋扁桃摘出術はSCAリスクを低下させた(同0.40、0.27〜0.60)。 著者らは、「今回の結果から、てんかんとSAの両方を有する小児患者におけるSCAリスクを軽減するためには、個別に治療方針を立てることが重要と思われる」と述べている。(HealthDay News 2025年8月22日) https://www.healthday.com/healthpro-news/child-health/sleep-apnea-increases-sudden-cardiac-arrest-risk-in-children-with-epilepsy Abstract/Full Texthttps://publications.aap.org/pediatrics/article/doi/10.1542/peds.2024-069635/203204/Risk-of-Sudden-Cardiac-Arrest-in-Children-With?searchresult=1?autologincheck=redirected Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock