人工知能(AI)システムを用いることにより、腎ファントムを使用した腎動脈へのクランプを、指導者の立ち会いなしで外科医にトレーニングができるという研究結果が、「Journal of Medical Extended Reality」に7月23日掲載された。 米ロチェスター大学医療センターのJonathan J. Stone氏らは、クロスリアリティ(XR)ヘッドセットと組み合わせたAIアルゴリズムが、指導者を必要とせずに医師のトレーニングを支援することが可能かどうか検討した。腎部分切除術用のファントムは、3Dプリントした鋳型に水性ポリマーを充填して作成した。参加者は特注デザインのXRヘッドセットを装着し、ストリーミングによるトレーニング指示を受けながら、ファントムの腎動脈にブルドッグクランプを設置する手技を実施した。機械学習モデルが開発され、指導者なしの外科トレーニング用教育システム(ESIST)の構築に用いられた。トレーニング終了後、参加者17人はESISTの教育的価値および操作性に関する19項目のアンケートに回答した。 解析の結果、混同行列スコアからアルゴリズムの性能が高いことが確認され、腎動脈へのブルドッグクランプ設置の精度は99.91%に達した。ESISTの教育的価値に関するアンケートの回答は、0.3%が全く同意しない、15.7%が同意しない、47.4%が同意する、36.6%が強く同意するであった。19項目のうち84%で肯定的評価が示された。 共著者である米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のNelson Stone氏は、「本研究は、研修医を指導する指導医に代わるAIプログラムが、教育コストを削減し、最終的には指導の質、効率、標準化の向上に寄与する可能性があることを示す初期段階のエビデンスとなるだろう」と述べている。 なお複数の著者が、Viomerse社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年8月11日) https://www.healthday.com/healthpro-news/health-technology/ai-system-can-train-surgeons-to-place-clamp-on-renal-artery Abstract/Full Texthttps://www.liebertpub.com/doi/10.1177/29941520251361898 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock