音響的特徴、特に高調波対雑音比(HNR、声の聞き取りやすさの指標)およびその変動性は、声帯病変の早期発見に有望である可能性があるという研究結果が、「Frontiers in Digital Health」に8月12日掲載された。 米オレゴン健康科学大学のPhillip Jenkins氏らは、Bridge2AI-Voiceデータセットの初期公開データを解析し、どの音響的特徴が喉頭がんや良性声帯病変を健康な状態や他の病態と区別できるかを検討した。解析は2種類行われ、合計7つの診断コホートが含まれた。最初の解析では、喉頭がんまたは良性病変を有する参加者、ならびに声帯病変を全く認めない健常対照群が対象となった。2回目の解析では、他の発声障害を伴わない喉頭がんまたは良性病変を有する参加者に加えて、病変を認めず痙攣性発声障害または片側声帯麻痺を有する参加者も含められた。基本周波数、ジッター(声の高さのばらつき)、シマー(声の大きさのばらつき)、HNRは標準化された音声記録から抽出され、比較にはノンパラメトリック統計手法が用いられた。 解析の結果、サンプル全体において、良性病変と健常対照および喉頭がんの双方との間で、HNRおよび基本周波数に有意な差があることが明らかになった。これらの差はシスジェンダー男性においても観察され、とくにHNRとその変動性に顕著であった。一方、シスジェンダー女性では統計的に有意な差は認められなかったが、これはサンプルサイズの限界によると考えられた。 Jenkins氏は、「Bridge2AI Voiceのように、研究倫理に従って収集された大規模かつ複数機関によるデータセットは、近い将来、臨床現場で声をがんリスクの実用的なバイオマーカーとして活用する手助けになる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2025年8月12日) https://www.healthday.com/healthpro-news/ear-nose-and-throat/harmonic-to-noise-ratio-could-identify-early-laryngeal-cancer Abstract/Full Texthttps://www.frontiersin.org/journals/digital-health/articles/10.3389/fdgth.2025.1609811/full Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock