不眠症は、認知機能の低下および認知障害(cognitive impairment;CI)のリスクと関連があるとする研究結果が、「Neurology」10月7日号に掲載された。 米メイヨー・クリニックのDiego Z. Carvalho氏らは、高齢者における慢性不眠症と、縦断的な認知機能アウトカムおよび脳の健康指標との関連を評価した。対象は、認知機能に障害のない高齢者で、年1回の神経心理学的評価と、連続的な画像評価としてアミロイドPETによるアミロイド負荷量(センチロイド単位)およびMRIで測定した白質高信号(WMH、頭蓋内容積に対する割合)のデータが取得された。全般的認知機能モデルには2,750人、Cox回帰ハザードモデルには2,814人が組み入れられ、追跡期間の中央値は5.6年であった。また、WMHモデルには1,027人、アミロイドPETモデルには561人が組み入れられた。 解析の結果、不眠症は、全般的認知機能スコアの年当たりの低下を0.011ポイント加速させ、認知障害のリスクを有意に高めていた(ハザード比1.4)。また、睡眠時間の減少を伴う不眠症は、ベースライン時の認知機能(β=-0.211)、WMH負荷(β=0.147)、アミロイドPET負荷量(β=10.5)と関連していた。一方、睡眠時間が比較的長かった不眠症患者では、ベースライン時のWMH負荷が低かった(β=−0.142)。不眠症は、WMHやアミロイド蓄積の経時的な変化とは関連していなかった。 Carvalho氏は、「不眠症は翌日の気分に影響を与えるだけでなく、経時的に脳の健康にも影響を及ぼす可能性がある。思考能力の低下の加速や脳の変化が観察されたことから、慢性不眠症は将来的な認知機能障害の早期警告サイン、あるいは寄与因子である可能性が示唆された」と述べている。 なお複数の著者が、バイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年9月10日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/insomnia-linked-to-cognitive-decline-cognitive-impairment Abstract/Full Texthttps://n.neurology.org/lookup/doi/10.1212/WNL.0000000000214155 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock