女性では更年期にドライアイ症状が増えることを示唆する横断研究の結果が報告された。自己免疫疾患の既往歴や喫煙習慣とドライアイリスクとの関連も示されたという。ホセ・デ・サン・マルティン病院(アルゼンチン)のDebora Yankelevich氏らが、米国で開催された更年期学会年次総会(The Menopause Society’s 2025 Annual Meeting、10月21〜25日、オーランド)で発表した。 更年期の症状として、ホットフラッシュや腟の乾燥などは比較的よく認識されている。しかし中年期以降の女性によく見られるドライアイ症状が、更年期とどのような関連があるのかはあまり研究されていない。ドライアイのリスク因子に加齢や一部の薬剤(降圧薬や抗うつ薬など)があるほか、性ホルモンも涙液分泌に影響することを考慮すると、更年期にドライアイ症状が増加する可能性があると推察される。 この研究は、閉経前後(平均年齢52歳)の女性3,547人を対象として、ドライアイ症状の有病率を横断的に検討する観察研究として行われた。ドライアイ症状の評価には、眼表面疾患指数(Ocular Surface Disease Index;OSDI)を用いた。また、ドライアイの潜在的なリスク因子を探索する目的で、自己免疫疾患の既往、喫煙習慣、コンタクトレンズの使用との関連も調査した。 対象全体のOSDIスコアは中央値14.58であり、44.2%が正常と判定され、21.7%が軽症、14.5%が中等症、19.7%が重症と判定された。閉経前と周閉経期に二分してドライアイ有病率を比較すると、前者の53.2%に対して後者は57.4%と有意に高かった(P=0.016)。また、自己免疫疾患の既往はドライアイ症状を有することと独立した関連が認められた(オッズ比〔OR〕1.75)。同様に、喫煙習慣(OR1.39)、コンタクトレンズの使用(OR3.21)も、ドライアイ症状と独立した関連が見られた。 これらの結果から、人々がドライアイによる深刻な合併症を来す前に受療行動を起こすように、ドライアイに対する認識を高める啓発の必要性が浮き彫りになった。同学会のメディカルディレクターであるStephanie Faubion氏は、「加齢と性ホルモン分泌の変化が、健康に与える影響を解明することが重要だ。また、ドライアイ症状を早期に発見することで、眼表面の健康、高い視機能、快適な生活を維持するための適切な治療介入が可能になる」と語っている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2025年10月28日) https://www.healthday.com/healthpro-news/womens-health/menopause-tied-to-more-symptoms-of-dry-eye-disease Press Releasehttps://menopause.org/press-releases/risk-of-dry-eye-disease-increases-during-menopause-transition More Informationhttps://menopause.org/annual-meetings/2025-annual-meeting Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock