医用画像検査による放射線被ばくは、小児や若年者における血液がんのリスクをわずかではあるが有意に増加させるという研究結果が、「The New England Journal of Medicine」10月2日号に掲載された。 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のRebecca Smith Bindman氏らは、医用画像検査による放射線被ばくが血液がんリスクに与える影響を検討するため、1996~2016年に米国の6つの医療システムおよびカナダ・オンタリオ州で出生した372万4,623人の小児および若年者を対象に後ろ向きコホート研究を行った。 追跡期間3571万5,325人年の間に、合計2,961件の血液がんが診断された。少なくとも1mGyの放射線被ばくを受けた対象者の平均被ばく量は、全体で14.0±23.1mGy、血液がんを発症した対象者では24.5±36.4mGyであった。累積線量が増えるにつれてがんリスクも増加し、被ばく量1mGy以上5mGy未満、15mGy以上20mGy未満、50mGy以上100mGy未満の相対リスクは、非被ばく群と比較してそれぞれ1.41、1.82、3.59であった。骨髄への累積放射線量と全ての血液がんリスクの増加も関連しており、100mGy当たりの過剰相対リスクは2.54であった。少なくとも30mGy被ばくした対象者では、21歳までの血液がんの累積過剰発生率は1万人当たり25.6であった。このコホートでは、血液がんの約10.1%が医用画像検査による放射線被ばくに起因する可能性があると推定された。 Smith-Bindman氏は、「医用画像検査は命を救う場合もあるが、今回の研究結果は、小児の画像検査において放射線被ばくを慎重に評価し、最小化することの重要性を示している。検査は小児の診療に不可欠な情報が得られる場合に限って実施し、CT検査などでは可能な限り低線量で行う必要がある」と述べている。 なお、1人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。また、別の1人の著者は、医用画像検査の安全性・品質管理を行う医療IT企業を共同設立しているが、この企業は本研究には関与していない。(HealthDay News 2025年9月19日) https://www.healthday.com/healthpro-news/cancer/radiation-exposure-from-medical-imaging-linked-to-hematologic-cancer-risk-in-children Abstract/Full Texthttps://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2502098?query=featured_home Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock