限局性皮質異形成(FCD)は外科的切除により根治が期待できるため、薬剤抵抗性焦点性てんかん(DRFE)においてFCDの有無は外科治療の適応判断を大きく左右する。しかし、FCDの一部、特に脳溝底部の異形成(BOSD)はMRIで検出困難なことが多く、治療機会の喪失や不適切な治療につながっている。これに対して機械学習によりFCDの検出精度を上げる試みもなされているが、これまでのところ、そのモデル構築のトレーニングにもMRI画像データのみが用いられている。メルボルン王立小児病院(オーストラリア)のEmma Macdonald-Laurs氏らは、MRIに加えてFDG-PETの画像データも併用した機械学習により、判定精度がより高いモデルの構築を模索。結果の詳細が「Epilepsia」に9月30日掲載された。 モデル構築のためのトレーニングセットは、BOSDを有する焦点性てんかん患者54人で構成され、検証セットは同院で後にBOSDと診断された小児患者17人(前向きに収集されたデータ)と、別の医療施設(オースティン病院)でBOSDと診断されていた成人患者12人(既存データ)で構成されていた。トレーニングセットと検証セット全体で、患者の81%は初期MRI検査で正常と判定されており、大半のBOSDが1.5cm3未満だった。 トレーニングセットでは、MRIのT1強調画像とFLAIR画像、およびFDG-PETという3種類の画像データを基に計12種類の画像特徴を抽出。次に機械学習により、MRIのみ、FDG-PETのみ、MRIとFDG-PETの併用という3条件でBOSD判定モデルを構築し、各モデルが提示した異常部位の候補にBOSDが含まれる割合を割り出すことで、判別能を比較した。 全体として、FDG-PETで検出される皮質および皮質下の低代謝状態は、MRIでの所見に比べて正常皮質とFCDの識別に優れていることが示された。そして、MRIとFDG-PETを併用して構築されたモデルを用いた場合、トレーニングセットでは提示された候補部位の上位5位までにBOSDが含まれる割合が87%(第1候補のみでは69%)、前向きに収集された検証セットでは94%(同88%)、既存データの検証セットでは91%(同64%)だった。それに対してMRIのみ、またはFDG-PETのみで学習されたモデルの判別能は概して低かった。 Macdonald-Laurs氏は、「本研究により、MRIとFDG-PETを組み合わせた自動検出法により、従来見逃されていた小さなBOSDを高精度で検出できることが示された。この技術により、MRI陰性と判断されていた患者から手術可能な症例を同定し、根治的治療の機会を提供できる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2025年10月6日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/automated-bottom-of-sulcus-dysplasia-detector-combines-mri-fdg-pet Abstract/Full Texthttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/epi.18628 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock