ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが初めて導入された2006年から17年が経過した2023年までの調査を解析した結果、性交渉の経験がある若年女性においても、1回でも接種していれば、集団レベルでの高い有効性と明確な集団免疫が認められることが、「JAMA Pediatrics」に9月29日掲載された研究で明らかにされた。 米シンシナティ小児病院医療センターのAislinn DeSieghardt氏らは、2006年から2023年までに実施された6回の横断的な調査のデータを用いて、性交渉経験のある13〜26歳の若年女性2,335人(平均年齢18.9歳)を対象に、ワクチンの有効性および集団免疫について評価した。これら6回の調査は、2006〜2007年、2009〜2010年、2013〜2014年、2016〜2017年、2018〜2021年、および2021〜2023年に実施された。16および/または18型の感染を2価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18型のうち1種類以上の感染を4価ワクチンのタイプの感染、6・11・16・18・31・33・45・52・58型の1種類以上の感染を9価ワクチンのタイプの感染とそれぞれ見なし、接種者(1回以上接種)を未接種者と比較することでワクチンの有効性と集団免疫を評価した。各調査回の参加者の背景の違いは、傾向スコアによる逆確率重み付けを用いて調整した。 2,335人の参加者のうち1,195人(51.2%)に性感染症の既往があり、1,843人(78.9%)は、これまで性的パートナーとして経験した男性の数が2人以上だった。2006年から2023年にかけて、ワクチン接種率は371人中0人から402人中330人(82.1%)に増加した。接種者における傾向スコアで調整した各タイプのHPV陽性率は、2価ワクチンでは2006年の27.7%から2023年の0.4%へ、4価ワクチンでは35.4%から2.1%へ、9価ワクチンでは48.6%から11.8%へ、それぞれ減少した。同様に、未接種者における陽性率も、25.8%から7.3%、25.3%から6.1%、42.7%から31.1%にそれぞれ減少した。ロジスティック回帰モデルにより、2価および4価ワクチンのタイプの感染を起こす調整オッズ比(aOR)を推定したところ、全体では0.03(95%信頼区間〔CI〕0.01〜0.07)および0.06(同0.03〜0.10)、接種者では0.01(同<0.01〜0.05)および0.04(同0.02〜0.08)、未接種者では0.23(同0.08〜0.63)および0.19(同0.07〜0.52)と、いずれも有意な低下が見られたが、低下の幅は接種者の方が大きかった。9価のタイプの感染では全体(aOR 0.22、95%CI 0.16〜0.31)および接種者(同0.14、0.09〜0.21)において有意な低下が見られた。 論文の共著者の一人である米アルバート・アインシュタイン医科大学のJessica A. Kahn氏は、「今回の結果から、性交渉経験があり、かつ3回接種を完了していない若年女性においても、HPVワクチンは感染を予防できる力があると思われ、究極的にはこの世界から子宮頸がんを撲滅できるのではないかと考えている」と述べている。 なお、一人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報、2人の著者が関連特許を保有していることを明らかにしている。(HealthDay News 2025年10月7日) https://www.healthday.com/healthpro-news/infectious-disease/hpv-vaccine-effective-offers-herd-protection-after-17-years Abstract/Full Texthttps://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2839024 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock