155件の研究を統合したメタ解析で、HIVやSARS-CoV-2、インフルエンザ、帯状疱疹、C型肝炎などのウイルス感染が、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中リスクの上昇と関連することが示された。研究の詳細は、10月29日付で「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に掲載された。 心血管疾患(CVD)は世界的な主要死因であり、ウイルス感染は炎症や血管障害を介してリスクを高める可能性がある。従来のレビューは特定のウイルスや脳卒中に限定され、ウイルス感染全般がCHDに与える影響については明らかになっていない。このような背景を踏まえ、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のKosuke Kawai氏らは、ウイルス感染とCVDリスク(CHDや脳卒中など)の関連を評価するため、疫学研究を対象にシステマティックレビューとメタ解析を実施した。 本研究では、MEDLINE、Embase、Web of Science、African‐Wide Information、Cochrane Libraryの各データベースを対象に、収録開始から2024年7月3日までの文献を検索した。対象は、CVDリスクとあらゆるウイルス感染の関連を検討した研究とした。主要評価項目はCVDで、心血管死、脳卒中、冠動脈疾患を含む複合指標として定義した。CVD、心血管死、冠動脈疾患、脳卒中(虚血性・出血性)、心不全を報告している研究を含めた。研究デザインは、コホート研究、症例対照研究、ケースコホート研究、ケースクロスオーバー研究、自己対照症例シリーズ(SCCS)で、関連指標を報告しているものを対象とした。 5万2,336件の文献をスクリーニングした結果、解析対象には155件の研究が含まれた。解析の結果、HIV感染はCHDのリスク上昇(統合リスク比〔RR〕 1.60、95%信頼区間〔CI〕 1.38~1.85)および脳卒中リスク上昇(RR 1.45、95%CI 1.26~1.67)と一貫して関連していた。SARS‐CoV‐2感染もCHD(RR 1.74、95%CI 1.44~2.11)および脳卒中(RR 1.69、95%CI 1.23~2.31)のリスク増加と関連していた。 SCCS研究では、検査で確認されたインフルエンザ感染が、感染後1か月以内の急性心筋梗塞(統合発生率比〔IRR〕 4.01、95%CI 2.66~6.05)および脳卒中(IRR 5.01、95%CI 3.41~7.37)のリスク上昇と関連していた。 コホート研究では、C型肝炎ウイルス感染がCHD(RR 1.27、95%CI 1.13~1.42)および脳卒中(RR 1.23、95%CI 1.04~1.46)リスクの上昇と関連していた。帯状疱疹もCHD(RR 1.12、95%CI 1.08~1.15)および脳卒中(RR 1.18、95%CI 1.09~1.27)リスクの上昇と関連していた。サイトメガロウイルスがCVDに及ぼす影響を確定するには、証拠が不十分であった。限定的ではあるが、A型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、RSウイルス、ヒトパピローマウイルス、デング熱、チクングニア熱もCVDリスクの増加と関連していた。 本研究についてKawai氏は、「ワクチン接種を含むウイルス感染予防は、心血管疾患リスクの低下に重要な役割を果たす可能性がある。特に、心血管疾患の既往やそのリスク因子を持つ成人にとって、予防は重要である」と述べている。(HealthDay News 2025年10月29日) https://www.healthday.com/healthpro-news/cardiovascular-diseases/viral-infections-linked-to-increased-risk-for-cardiovascular-disease Abstract/Full Texthttps://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.125.042670 Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock