アルツハイマー病(AD)関連の血液バイオマーカー(BBM)は脳病理を反映するだけでなく、腎機能低下によって変動することが知られている。ただし、その変動がクリアランスの低下によるものなのか、脳病理の変化を意味するものなのかは明らかにされていない。また、認知症リスクと腎機能との関連については矛盾するエビデンスが存在する。これらを背景に、カロリンスカ研究所(スウェーデン)およびストックホルム大学(同)のFrancesca Gasparini氏らは、同国で進行中の60歳以上の一般住民を対象とする加齢と介護に関する縦断研究(SNAC-K)のデータを用いた検討を実施。結果の詳細が「Neurology」に12月3日掲載された。SNAC-K参加者のうちベースラインで認知症がなくデータ欠落のない2,279人(年齢中央値72歳〔四分位範囲61~81〕、女性62%)を解析対象とした。このうち24%が腎機能障害(血清クレアチニンに基づくeGFRが60mL/分/1.73m2未満)を有していた。腎機能障害の有無で二分し各群のBBMの中央値を多変量分位点回帰分析で比較すると、全てに有意差が認められ、いずれも腎機能障害を有する群が高値(Aβ42/40は低値)だった。3次スプライン解析からは、eGFRとBBMのzスコアとの間に非線形の関連が示され、特に神経フィラメント軽鎖(NfL)はeGFRと強く関連していた。例えばeGFRが30mL/分/1.73m2のとき、NfLのzスコアに1標準偏差近くの差が認められた(β=0.88〔95%信頼区間0.80~0.95〕)。またNfLほど顕著ではないものの、eGFRが30mL/分/1.73m2に低下している場合、p-tau181(β=0.22〔同0.09~0.35〕)、p-tau217(β=0.20〔0.10~0.31〕)、t-tau(β=0.24〔0.05~0.42〕)、GFAP(β=0.10〔0.03~0.16〕)にも有意差が観察された。この集団を最長16年(平均8.3±4.3年)追跡したところ、362人が新たに認知症を発症していた。100人年当りの認知症発症率は、腎機能障害のない群が1.46(1.28~1.67)、腎機能障害を有する群が3.72(3.16~4.39)と後者が高かったが、交絡因子(年齢、性別、BMI、教育歴、心臓脳血管疾患、APOEε4など)を調整後、有意なリスク差は認められなかった(ハザード比〔HR〕0.93〔0.72~1.21〕)。各BBMと認知症発症リスクの関連を腎機能障害の有無で層別化した検討では、NfLについては腎機能障害群において、より強い関連が認められた(腎機能障害のない群ではNfL低値に対して高値でHR1.84〔1.34~2.53〕、腎機能障害を有する群ではHR3.85〔1.87~7.95〕、交互作用P=0.064)。 Gasparini氏は、「腎機能の低下が認知症発症リスクを高めるという関連は見られなかったが、AD関連のBBMが高い人では腎機能障害が認知症の発症を促進する可能性が示された」と述べている。(HealthDay News 2025年12月4日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/alzheimer-disease-blood-biomarker-levels-increase-with-impaired-kidney-function Abstract/Full Texthttps://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214446 (参考情報)Press Releasehttps://news.ki.se/kidney-health-affects-alzheimers-blood-biomarkers-but-not-dementia-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock